![]() カーゴ分子の送達ビヒクルおよび炎症反応を免疫調節するための生物学的治療剤としてのYopM
专利摘要:
本発明は、細胞膜を横切ってカーゴ分子を細胞のサイトゾルに送達するための、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるエルシニア外側タンパク質M(YopM)、YopM断片またはYopM変異体の使用に関する。また、本発明は、免疫系の炎症反応の調節および宿主の自己免疫によって引き起こされる疾患の治療のための、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるYopM、YopM断片またはYopM変異体を含む医薬組成物にも関する。本発明は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるYopM断片または変異体、およびカーゴ分子と連結したそのようなタンパク質またはYopMにさらに関する。 公开号:JP2011514378A 申请号:JP2011500203 申请日:2009-03-17 公开日:2011-05-06 发明作者:シュミット,アレクサンダー,エム.;ホイジップ,ゲルハルト;リューター,クリスティアン 申请人:ウニベルジテーツクリニクム ミュンスター; IPC主号:A61K47-42
专利说明:
[0001] 本発明は、細胞膜を横切ってカーゴ分子を細胞のサイトゾルに送達するための、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるエルシニア外側タンパク質M(YopM)、YopM断片またはYopM変異体の使用に関する。また、本発明は、免疫系の炎症反応を調節し、宿主の疾患を治療するための、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるYopM、YopM断片またはYopM変異体を含む医薬組成物にも関する。本発明は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるYopM断片または変異体、およびカーゴ分子と連結したそのようなタンパク質またはYopMにさらに関する。] 背景技術 [0002] 免疫抑制反応、すなわち、免疫系の活性の阻害または妨害をもたらす反応は、天然の背景に由来し、したがって身体への病原性が高いか、または意図的な医療行為が原因である。] [0003] 前者の場合は、宿主生物への感染を成功させるために、病原性微生物は、ヒトの防御系を傷つける、回避する、破壊する、またはさらには利用することによって、そのそれぞれの生態学的地位を保護しなければならない。そのために、過多の分泌性および細胞関連の因子に関与する様々な巧妙な戦略を発達させている。エルシニア(Yersinia)属の病原性種は、宿主の自然免疫応答を抑制することができる。この目的のために、エルシニア属菌は、細菌膜に貫通するYscインジェクチソーム、エルシニア外側タンパク質(Yop)エフェクターおよび膜を横切ってこのエフェクターを送達するために必要なYop輸送体からなる、III型分泌系(T3SS)を用いる(Cornelis GR.、Int J Med Microbiol.2002年2月;291(6〜7):455〜62)。III型分泌系は、3つの病原性エルシニア属種、すなわち、エンテロコリチカ菌(Y.enterocolitica)、偽結核菌(Y.pseudotuberculosis)、およびペスト菌(Y.pestis)のすべてに共通する病原性プラスミド上にコードされている。病原性エルシニア属菌は、その動物またはヒト宿主のリンパ組織内で生存および細胞外複製するために、このT3SSを必要とする。エルシニア外側タンパク質(Yop)、すなわち一組の病原性因子は、このT3SSによって宿主細胞内に転座される(Cornelis GR.、Int J Med Microbiol.2002年2月;291(6〜7):455〜62)。2つのYop(YopBおよびYopD)が宿主の形質膜内に挿入され、ここで、これらは、宿主細胞のサイトゾル内への6個のさらなるエフェクターYop(YopO、YopH、YopM、YopT、YopJ/YopPおよびYopE)の転座ポアとして機能する。Yopの機能の顕著な特徴は、エルシニア属菌の貪食を妨げ、炎症誘発性サイトカインの分泌をダウンレギュレーションすることによる、自然免疫応答の反作用である。Yopによって標的とされるシグナル伝達経路は、貪食受容体、トール様受容体(TLR)、および抗原受容体によって開始される。Yopは、感染細胞の複数のシグナル伝達応答を、たとえば、Rho−GTP結合タンパク質、接着斑タンパク質、炎症経路、および細胞の生存/アポトーシスを調節することによって、妨害するように機能する(Aepfelbacher,M.、Trasak,C.、and Ruckdeschel,K.(2007)Thromb Haemost、98:521〜529;Viboud,G.I.およびBliska J.B.(2005)Annu.Rev.Microbiol.、59:69〜89)。In vivo研究により、YopH、YopM、およびYopEが、自然免疫応答の病原性および反作用に最も重要なYopであることが示されている。] [0004] Yopは細菌タンパク質であるが、これらはしばしば真核細胞の機能に関連する酵素活性を有する。たとえば、YopHは、β1インテグリン媒介性の貪食経路を標的とする、活性の高いタンパク質チロシンホスファターゼであり、YopEは、Rho−GTPaseを標的とするGTPase活性化タンパク質である。YopMが、知られている酵素活性を有さないエルシニア属菌の唯一のエフェクターである。宿主サイトゾル内への転座後、YopMは、小胞関連経路を介して核に輸送される。しかし、現在まで、核移行がどのようにYopMの機能に関連しているかは依然として理解しにくいままである(Skrzypek,E.、Cowan,C.およびStraley,S.C.(1998).Mol.Microbiol.、30:1051〜1065)。YopMタンパク質は、2つのアミノ末端ヘリックス、続いて可変数の約20個のアミノ酸のロイシンリッチリピート(LRR)モチーフ(様々なエルシニア属菌株の中で12〜20個のLRR)からなり、馬蹄形のタンパク質を形成する。タンパク質−タンパク質の相互作用に関連づけられているLRRは、YopMのほとんどを構成する(図1を参照)。α−トロンビンおよびα1−抗トリプシンなどの血清タンパク質とのタンパク質−タンパク質の相互作用(Hines,L.、Skrzypek,E.、Kajava,A.V.、およびStraley,S.C.(2000)Microbial Pathogenesis、30:193〜209;Heusipp,G.、Spekker,K.、Brast,S.、Falker,S.およびSchmidt,M.A.(2006)Microbiology、152:1327〜1335)、ならびに2つの細胞質キナーゼ、RSK1およびPRK2とのYopMの明らかな足場機能(McDonald,C.、Vacratis,P.O.、Bliska,J.B.およびDixon,J.E.(2003).J.Biol.Chem、278:18514〜18523)の他に、感染中のYopMの分子機能は不十分にしか理解されていない。] 図1 [0005] エンテロコリチカ菌の感染の現在のモデルによれば、YopMは、T3SSによって宿主細胞の細胞質内に転座される。しかし、他の研究により、YopMの細胞外の役割、たとえば、急性期タンパク質α1−抗トリプシンとの結合、およびYopMと血清タンパク質α−トロンビンとの結合、ならびにマウスの感染後のYopMに対する強力な液性免疫応答が示唆されている(Benner,G.E.、Andrews,G.P.、Byrne,W.R.、Strachan,S.D.、Sample,A.K.、Heath,D.G.およびFriedlander,A.M.(1999)Infect Immun.、67:1922〜1928;Heusipp,G.、Spekker,K.、Brast,S.、Falker,S.およびSchmidt,M.A.(2006)Microbiology、152:1327〜1335;Hueck,C.J.(1998)Microbiol.Mol.Biol.Rev.、62:379〜433)。さらに、in vitro感染中のYopMの無極性分泌(7%)が、ChengおよびSchneewindによって報告されている(Cheng,L.W.およびSchneewind,O.(2000)J.Bacteriol.、182:3183〜3190)。エンテロコリチカ菌およびペスト菌のyopM突然変異体が感染したマウスにおいて全身性の感染を確立できないことは(Trulzsch,K.、Sporleder,T.、Igwe,E.I.、Russmann,H.およびHeesemann,J.(2004)Infect.Immun.、72:5227〜34;Kerschen,E.J.、Cohen,D.A.、Kaplan,A.M.およびStranley,S.C.(2004)Infect.Immun.、72:4589〜4602)、YopMが感染中の完全な病原性および自然免疫に対する耐性に重要であることを示している(Leung,K.Y.、Reisner,B.S.およびStraley,S.C.(1990)Infect.Immun.、58:3262〜3271)。] [0006] 後者の意図的な医療行為の場合は、化合物の免疫抑制活性を、調節、特に、免疫系の活性の制御されたかつ目的のある阻害または妨害に使用する。対応する化合物は、一般に、免疫抑制剤または免疫抑制薬として要約される。免疫抑制薬は、一般に、(1)糖質コルチコイド、(2)細胞増殖抑制剤、(3)抗体、(4)イムノフィリンに作用する薬物、および(5)TNF結合タンパク質の群に分類される異種遺伝子のコレクションである。] [0007] 薬理学的用量では、糖質コルチコイドは、様々なアレルギー性、炎症性、および自己免疫性の障害を抑制するために使用する。また、これらは、急性移植片拒絶および移植片対宿主病を予防するための移植後の免疫抑制剤としても投与される。しかし、これらは感染症を予防せず、また、後の修復プロセスを阻害する。糖質コルチコイドは、細胞媒介性免疫を抑制する。これらは、サイトカインIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IFN−γ、およびTNF−α(このうち、最も重要なものはIL−2である)をコードしている遺伝子を阻害することによって作用する。サイトカイン産生の減少は、立ち代ってT細胞増殖を減少させる。また、糖質コルチコイドは液性免疫も抑制し、B細胞がより少量のIL−2およびIL−2受容体を発現することを引き起こす。これは、B細胞クローンの拡大および抗体合成をどちらも減弱させる。糖質コルチコイドは、すべての種類の炎症性事象に影響を与える。これは、リポコルチン−1(アネキシン−1)の合成を誘導し、続いてこれは細胞膜と結合し、ホスホリパーゼA2とその基質アラキドン酸と相互作用を妨げ、エイコサノイド産生の減弱がもたらされる。また、シクロオキシゲナーゼCOX−1およびCOX−2の発現も抑制され、これにより効果が増強される。さらに、糖質コルチコイドは、リポコルチン−1を刺激して細胞外空間に逃れさせ、ここでこれは白血球膜受容体と結合し、上皮接着、遊出、化学走性、貪食、呼吸バースト、ならびに好中球、マクロファージ、および肥満細胞からの様々な炎症伝達物質(リソソーム酵素、サイトカイン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ケモカインなど)の放出等の様々な炎症性事象を阻害する。] [0008] 細胞増殖抑制剤は細胞分裂を阻害する。免疫療法では、これらは悪性疾患の治療よりも少ない用量で使用する。これらは、T細胞およびB細胞のどちらの増殖にも影響を与える。プリン類似体は、その有効性が最高であるため、細胞増殖抑制剤として最も頻繁に投与される。典型的には、ナイトロジェンマスタード(シクロホスファミド)、ニトロソウレアまたは白金化合物などのアルキル化剤は、免疫療法において細胞増殖抑制剤として使用される。シクロホスファミドは、おそらく現在までに知られている最も強力な免疫抑制化合物である。これは、小用量では全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、および他の免疫疾患の治療に非常に効率的である。しかし、高用量は汎血球減少症または易出血性膀胱炎を引き起こし得る。さらに、細胞増殖抑制剤は、核酸の合成を妨害する代謝拮抗剤である。これらには、メトトレキサートなどの葉酸類似体、アザチオプリンおよびメルカプトプリンなどのプリン類似体、ピリミジン類似体ならびにタンパク質合成阻害剤が含まれる。メトトレキサートは葉酸類似体である。これは、ジヒドロ葉酸還元酵素と結合してテトラヒドロ葉酸の合成を妨げ、一般に、関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療および移植において使用される。アザチオプリンは、最も重要な免疫抑制性の細胞毒性物質のうちの1つである。これは、移植片拒絶反応を制御するために大規模に使用されている。これは、プリン類似体およびDNA合成の阻害剤として作用するメルカプトプリンに非酵素的に切断される。メルカプトプリン自体も、しばしば直接投与する。これは、免疫応答の誘導期にリンパ球のクローン増殖を妨げることによって、細胞性および液性免疫のどちらにも影響を与える。また、これは自己免疫疾患の治療にも効率的である。さらなる細胞増殖抑制剤の群は細胞毒性がある抗生物質である。これらのうち、ダクチノマイシンが現在最も重要である。これは腎臓移植に使用されている。他の細胞毒性がある抗生物質は、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシンである。] [0009] 免疫抑制抗体は、急性拒絶反応を予防するための迅速かつ強力な免疫抑制方法として使用することができる。この群には、患者の胸腺細胞またはリンパ球を事前に注射した動物の血清から得られる、異種ポリクローナル抗体が含まれる。典型的には、抗リンパ球(ALG)および抗胸腺細胞抗原(ATG)をそのような手法に使用する。これらは、ステロイド耐性急性拒絶反応および重篤な再生不良性貧血の治療の一部である。ポリクローナル抗体は、Tリンパ球を阻害し、補体媒介性の細胞溶解および細胞媒介性のオプソニン化のどちらでもあるその溶解を引き起こし、続いて、脾臓および肝臓において細網内皮細胞を循環から除去する。したがって、ポリクローナル抗体は、移植片拒絶、遅延型過敏症および移植片対宿主病を含めた細胞媒介性の免疫反応を阻害し得る。しかし、ポリクローナル抗体は、すべてのリンパ球に影響を与えて全身免疫抑制を引き起こす場合があり、移植後リンパ球増殖性障害(PTLD)または重篤な感染症、特にサイトメガロウイルスおよび以前は休眠状態であったマイコバクテリアによるものをもたらす可能性がある。ポリクローナル抗体の免疫原性が高いため、ほとんどの患者が治療に対して急性反応を示す。これは、発熱、硬直発作、およびさらにはアナフィラキシーによって特徴づけられる。治療中の後の期間に、一部の患者は血清病または免疫複合体糸球体腎炎を発生し得る。] [0010] モノクローナル抗体は、正確に定義された抗原(エピトープ)に対するものである。したがって、これらが引き起こす副作用はより少ない。IL−2受容体(CD25)およびCD3に対する抗体が特に顕著である。これらは、移植臓器の拒絶を予防するために使用するが、リンパ球部分集団の変化を追跡するためにも使用する。OKT3(登録商標)は最も重要な抗CD3抗体のうちの1つである。OKT3は、TCR/CD3、T細胞受容体複合体と結合することが知られている。これは、すべての分化したT細胞上に存在するT細胞受容体複合体と結合することによって、T細胞の活性化および増殖を妨げる。しかし、最初の数回の投与の間、この結合は非特異的にT細胞を活性化させ、30〜60分後に重篤な症候群をもたらす。これは、発熱、筋痛、頭痛、および関節痛によって特徴づけられる。一部の例では、生命を脅かす心血管系および中枢神経系の反応に進行し、長い治療を要する。この期間の後、CD3(登録商標)がTCRと抗原の結合を遮断し、コンホメーション変化またはT細胞表面からのTCR3/CD3全体の除去を引き起こす。これにより、T細胞数が、おそらくはこれらが網様上皮細胞の取り込みに対して感作されることによって、低下する。また、CD3分子の交差結合は細胞内シグナルも活性化し、これらが共刺激分子によって別のシグナルを受け取らない限りは、T細胞のアネルギーまたはアポトーシスが引き起こされる。また、CD3抗体は、バランスをTh1からTh2細胞にシフトさせる。患者の治療においてOKT3(登録商標)を使用するかどうかを決定する際には、医療従事者は、その大きな有効性だけでなく、その毒性副作用も考慮しなければならない。過剰な免疫抑制の危険性および患者が薬物に対する中和抗体を発生する危険性により、これが無効となる場合がある。CD3(登録商標)抗体はポリクローナル抗体よりも特異的に作用するが、これらは細胞媒介性免疫を顕著に低下させ、患者を日和見感染症および悪性疾患に罹りやすくさせ得る。] [0011] インターロイキン−2は、クローンの拡大および活性Tリンパ球の生存に必要な、免疫系の重要な調節因子である。その効果は、α、β、およびγ鎖からなる三量体の細胞表面受容体IL−2Rによって媒介される。IL−2R(CD25、T細胞活性化抗原、TAC)は、既に活性化されたTリンパ球によってのみ発現される。したがって、これは選択的免疫抑制治療において特別な有意性を有しており、キメラマウス/ヒト抗Tac抗体バシリキシマブ(Simulect(登録商標))およびダクリツマブ(Zenapax(登録商標))などの有効かつ安全な抗IL−2R抗体の開発に研究の焦点があてられている。これらの抗体は、IL−2R受容体のα鎖と結合し、活性リンパ球のIL−2に誘導されるクローン増殖を妨げ、その生存を短縮することによって作用する。これらは、たとえば、両側腎臓移植後の急性臓器拒絶の予防に使用され、どちらも同様に有効であり、わずかな副作用しかない。] [0012] イムノフィリンに作用する薬物には、とりわけ、カルシニュリン阻害剤であるシクロスポリンが含まれる。これは11個のアミノ酸からなる真菌ペプチドであり、最も広く使用されている免疫抑制薬のうちの1つである。シクロスポリンは、免疫担当のリンパ球、特にTリンパ球のサイトゾルタンパク質シクロフィリン(イムノフィリン)と結合すると考えられている。シクロスポリンとシクロフィリンとのこの複合体が、正常な条件下ではインターロイキン−2の転写を誘導するカルシニュリンを阻害する。また、この薬物は、リンホカインの産生およびインターロイキンの放出も阻害し、エフェクターT細胞の機能の低下をもたらす。シクロスポリンは急性拒絶反応の治療に使用されるが、腎毒性などの重篤な副作用を示し得る。] [0013] 最後に、TNF結合タンパク質の群は、TNF−αがIL−1およびIL−6の合成を誘導することならびにリンパ球活性化分子の接着を妨げる、TNF−αと結合するモノクローナル抗体または循環受容体、たとえば、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、またはアダリムマブ(Humira(登録商標))を含む。これらは、関節リウマチ、強直性脊椎炎、クローン病、および乾癬の治療に使用される。しかし、これらの薬物は、結核に罹患する危険性または潜伏性の感染症が活性となるように誘導する危険性を上昇し得る。したがって、たとえばインフリキシマブおよびアダリムマブは、患者を潜伏性のTB感染症について評価すべきであること、およびこれらを用いた治療を開始する前に処置を開始すべきであることの注意ラベルを保有する。] 発明が解決しようとする課題 [0014] したがって、これらの免疫抑制薬は価値ある医療ツールであるが、副作用および危険性が伴わないわけではない。これらの大多数が非選択的に作用するため、免疫系は、感染症および悪性細胞の拡大に抵抗する能力が下がる。さらに、大量の免疫抑制薬の生産は時間がかかり、高価である。] [0015] したがって、新規、有効かつ安価な免疫抑制剤の提供が必要である。] [0016] 形質膜を横切ることは、細胞内を標的化した薬物および/または化合物の送達の必須条件である(たとえば、遺伝子/核酸を細胞内区画に送達しなければならない遺伝子治療)。細胞浸透性ペプチド(CPP)は、それに付着しているカーゴ分子を、細胞内に、大抵の場合はエンドサイトーシスによって輸送することが知られている。それにもかかわらず、当分野では、高等細胞の形質膜を横切ることができる化合物を提供する必要性が依然として存在する。] 課題を解決するための手段 [0017] 上述の技術問題の解決策は、本明細書中で特徴づけた実施形態を提供することによってもたらされる。] [0018] 本発明者らは、現在まではエルシニア属菌のIII型分泌系(T3SS)の状況においてのみ報告されていたYopMが、驚くべきことに、宿主細胞の細胞膜を非依存的に横切る、すなわち細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができることを見い出した。] [0019] また、本発明者らは、これまでは潜在的な免疫抑制治療剤として特徴づけられていないYopMが、細胞サイトゾル内に組み込まれた後、サイトカイン、特に炎症誘発性サイトカインを有効にダウンレギュレーションすることができる、すなわち、炎症反応を制御することができ、したがって、免疫調節剤または免疫抑制剤として効率的に使用できることも見い出した。] [0020] したがって、第1の態様では、本発明は、細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれるYopMの能力を中心とし、細胞膜を横切って少なくとも1つのカーゴ分子を細胞のサイトゾルに送達するための、本明細書中で定義したYopM、YopM断片またはYopM変異体の使用に関する。前記YopM断片またはYopM変異体は、それ自体で、すなわち追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができる。] [0021] 第2の態様では、本発明は、YopM、YopM断片もしくはYopM変異体(前記断片または変異体は、好ましくは、依然として追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができる)および/または炎症誘発性サイトカインをダウンレギュレーションするためのYopMの免疫調節ドメインを含む、免疫抑制薬を、好ましくは医薬組成物として提供する。したがって、前記免疫抑制薬/医薬組成物は、炎症誘発性サイトカインの過剰発現および/または望まない発現に関連する疾患の治療に使用し得る。したがって、YopMおよびその誘導体は、免疫系の炎症反応の調節、たとえば宿主の自己免疫によって引き起こされる疾患を治療するために使用することができる。] [0022] 用語「追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができる」とは、本発明の化合物、すなわち、本明細書中で定義したYopM、YopM断片、ならびに/またはYopM断片および/もしくはYopMのYopM変異体が、外因性因子、たとえば、通常は宿主細胞の内部または表面に存在しないものの支援なしに、細胞膜を通過し、細胞のサイトゾルに入ることができることを意味する。好ましくは、この用語は、分子が、これまでは膜を横切ってエフェクターを送達するために必須であると考えられていた、III型分泌系(T3SS)、好ましくはエルシニア属菌のIII型分泌系の支援なしに、さらに好ましくは、Yop輸送体、たとえばエルシニア属菌のYop輸送体なしに、細胞膜を通過し、細胞のサイトゾルに入ることができることを意味する。前記輸送体は当業者に知られている(たとえば、(Cornelis GR.、Int.J.Med.Microbiol.、291(6〜7):455〜462(2002)および図19を参照)。] 図19 [0023] 添付の実施例において本明細書中で開示した実験結果に鑑みて、本発明の単離した化合物が、それ自体で細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができることは明らかである。「単離した」とは、YopM、YopM断片、ならびに/またはYopM断片および/もしくはYopMのYopM変異体が、その天然の環境から分離して取り出されていることを意味する。] [0024] 本願明細書の状況では、用語「YopM、YopM断片、YopM断片および/もしくはYopMのYopM変異体、ならびに/またはYopMの免疫調節ドメイン」とは、一部の場合では「本発明の化合物」としても表す。] [0025] 一般に、本発明は、細胞膜を横切って少なくとも1つのカーゴ分子を細胞のサイトゾルに送達するための、単離したエルシニア外側タンパク質M(YopM)、単離したYopM断片または単離したYopM変異体の使用に関することが想定される。それにより、前記単離したYopM、単離したYopM断片または単離したYopM変異体は、細胞膜に自己浸透することができ、好ましくは、細胞サイトゾル内に組み込まれることもできる。] [0026] 用語「カーゴ分子を送達すること」とは、前記単離したYopM、単離したYopM断片または単離したYopM変異体が、それにより、補助因子なしに、本明細書中で定義したカーゴ分子、たとえば、天然または非天然起源のペプチドもしくはタンパク質、DNA、RNA、炭水化物、脂質または化学的に考案された分子を、高等細胞内に輸送および送達することができることを意味する。] [0027] 用語「細胞膜に自己浸透する」とは、本発明の化合物が、2つの異なる区画を隔てる膜を横切る/通過できることを意味する。言及した2つの区画は、細胞の外側および内側を指すことが好ましい。したがって、「細胞膜」とは、好ましくは、細胞の内側を外側から隔てる形質膜である。本発明の化合物は、好ましくは、細胞の外側から細胞の内側に向かって形質膜を横切ることを理解されよう。] [0028] YopMの細胞内局在化を決定するために、金で標識したYopMを備えた電子顕微鏡観察(EM)を行った(図18)。HeLa細胞のインキュベーションの早期に(37℃で5〜15分間)、YopM−Auが細胞表面と結合していることが検出され(図18;a)、さらにサイトゾル中の小胞と会合しているように見えた(図18;b)。インキュベーションの後期に(15〜60分間)、YopM−Auは多小胞体中に認めることができ(MVB;図18;c)、これは、後期エンドソーム(LE)の典型的な形態である。興味深いことに、本発明者らは、明確な膜を全く有さないYopM関連構造をしばしば観察した(図18;d)。さらに、小胞膜は溶解しているように見え、YopMがエンドソーム区画から漏れることを許容していた。最後に、YopM−Auは、サイトゾル中に遊離して、および核質内で検出された(3時間)(図18;f、黒色矢印によって示した)。これは、YopMが最初に小胞関連機構を介して宿主細胞に入った後、後の時点で細胞質に入ることを示し、本発明者らはこのプロセスを自己浸透および細胞サイトゾル内への組込みと呼んだ。その後、YopMはサイトゾル中に遊離して表れ、核周囲領域中に蓄積され、核に入ることができる。] 図18 [0029] したがって、「細胞サイトゾル内に組み込まれる」本発明の化合物は、好ましくは、上記同定した様式で形質膜を横切る、すなわち、これらは最初に小胞と会合し、続いてサイトゾル内に放出されることが想定される。] [0030] 本発明の化合物は、受容体と相互作用する必要なしに、真核細胞、好ましくは以下に示すものに入り得る、すなわち、本発明の化合物は、受容体と無関係に真核細胞に入り得る。用語「細胞」とは、任意の種類の単離した真核細胞、生きた生物または組織の状況における細胞および細胞培養物中の単離した細胞/組織を意味する(たとえば、HeLa細胞、T84細胞、HL60細胞またはXS52細胞など)。好ましくは、この用語は、高等真核細胞、より好ましくは動物細胞、さらにより好ましくは哺乳動物細胞、最も好ましいヒト細胞に関する。上皮細胞、線維芽細胞(たとえば滑膜線維芽細胞−実施例9を参照)、初代細胞、内皮細胞(たとえばヒト腸管微小血管内皮細胞HIMEC−実施例8を参照)、単球、樹状細胞、マクロファージおよび/またはNK細胞などの免疫系の細胞も想定される。] [0031] 外因性因子の支援なしに、細胞膜を通過し、細胞のサイトゾルに入る能力は、当業者に知られている方法によって試験および決定することができる。細胞膜内へのYopM、YopM断片またはYopM変異体の自己浸透および細胞サイトゾル内へのその組込みは、たとえば、Kenny B、Finlay BB.、Infect Immun.1997年7月;65(7):2528〜36に記載されている細胞分画方法および/または添付の実施例中に記載した方法によって試験することができる。手短に述べると、そのような方法は、試験する細胞、たとえばHeLa細胞を、YopM、たとえば組換えのYopM、YopM断片またはYopM変異体、たとえば組換えのYopM断片またはYopM断片と共に(すなわち本発明の化合物と共に)、10〜60分間、好ましくは20〜40分間、より好ましくは25〜35分間、最も好ましくは30分間の期間インキュベーションすることを含む。YopM、YopM断片またはYopM変異体は、当業者に知られている任意の適切な培地中に存在し得る。たとえば、タンパク質は、たとえば、DMEM、FCS、L−グルタミン、HEPESおよびメチル−α−D−マンノースを含む感染培地中で提供する。好ましくは、感染培地は、500mlのDMEM、10%(v/v)のFCS、1mMのL−グルタミン、10mMのHEPESおよび1%(w/v)のメチル−α−D−マンノースを含む。アッセイには、たとえばコンフルエントに成長させた表面層として試験する細胞を含む細胞培養皿を、本明細書中で上述した感染培地中に任意の適切な濃度、たとえば、1〜100μg/ml、好ましくは5〜50μg/ml、より好ましくは10〜30μg/ml、最も好ましくは15〜25μg/mlの濃度で存在する本発明の化合物と共に、インキュベーションし得る。続いて、細胞を、当業者に知られている任意の適切な緩衝液、たとえばD−PBS/Mg2+で洗浄し得る。好ましくは、洗浄は氷冷緩衝液中で実施し、2回繰り返す。任意選択で、これに続いて0.2Mのグリシン、pH2.0を用いた酸洗浄を行う。続いて、当業者に知られている任意の適切な手段によって細胞を透過処理する。好ましくは、細胞を適切な超音波処理緩衝液に懸濁させ、その後、懸濁液を超音波処理によって透過処理し得る。続いて、生じた懸濁液を、たとえば、遠心分離、たとえば108,000×gで15分間、4℃によって、細胞画分に分離し得る。分画ステップの後、懸濁した細胞質タンパク質を含む上清を回収し得る。生じるペレットを、当業者に知られている任意の適切な緩衝液、たとえば超音波処理緩衝液で、任意選択で洗浄し得る。超音波処理緩衝液は、例示的に、トリスHCl、NaCl、EDTA、EGTA、グリセロール、NaVO4およびNaFを含む。好ましくは、超音波処理緩衝液は、50mMのトリスHCl、pH7.6、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA、30%のグリセロール、0.4mMのNaVO4および1mMのNaFを含む。続いて、ペレットを、当業者に知られている任意の適切な緩衝液、たとえばTriton緩衝液、好ましくは、本明細書中で上述した超音波処理緩衝液中に1%(v/v)のTritonを含む1mlのTriton緩衝液に再懸濁させ得る。その後、懸濁液を、振盪器内で、当業者に知られている適切な期間、たとえば、30分間、4℃、15U/分でインキュベーションし得る。続いて、懸濁液を、たとえば108,000×gで15分間、4℃で、再度遠心分離し得る。生じる上清を「膜画分」として回収し得る。続いて、生じた画分は、当業者に知られている適切な手段、たとえばトリクロロ酢酸(TCA)を用いて沈殿させ得る。YopM、YopM断片またはYopM変異体の自己浸透および組込みの検出には、本明細書中で上述した方法によって得られた細胞質および膜の画分を、当業者に知られている任意の方法で、たとえば免疫染色によって分析し得る。例示的には、画分は、当業者に知られており、たとえば、LottspeichおよびZorbas(Bioanalytik、1998)から得られる、ウエスタンブロットによって分画し得る。検出は、たとえば、ポリクローナルネズミYopM抗血清、たとえば、完全長のエンテロコリチカ菌のYopMに対するポリクローナルネズミ抗血清を用いて行い得る。] [0032] 本発明の化合物、特に本発明のYopM、YopM断片またはYopM変異体は、試験した分子が、概要を上述したように小胞と会合して、または既にサイトゾル中に放出されて(後者が好ましい)、細胞質画分中に検出されることができる場合に、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるとみなされる。より好ましくは、本発明の化合物は、加えたYopM、YopM断片またはYopM変異体の合計量と比較して、試験した化合物の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、もしくは70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%が細胞質画分中で検出された場合に、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるとみなされる。タンパク質取り込みの量を定量する方法は当業者に知られている。本発明の化合物は、上述したように小胞と会合して、および/または既にサイトゾル内に放出されて(後者が好ましい)、細胞質画分中に検出されることが想定される。] [0033] あるいは、細胞膜内へのYopM、YopM断片またはYopM変異体の自己浸透および細胞サイトゾル内へのその組込みは、当業者に知られている転座係数アッセイによって、たとえば、Langel,U.(編)(細胞浸透性ペプチド:プロセスおよび応用(Cell−penetrating peptides:Processes and Applications)、CRCPress、フロリダ州Boca Raton、2002)およびその中の参考文献に記載されているように、試験することができる。手短に述べると、YopM、YopM断片またはYopM変異体を、適切な標識、たとえば、Cy3もしくはCy5などの色素または金粒子、GFP、RFPなどと連結させる。続いて、定義された量の標識されたタンパク質を標的細胞と共に、たとえば本明細書中に記載したようにインキュベーションする。その後、細胞を、たとえば、細胞分画方法の状況において本明細書中に記載したように溶解および分画する。転座係数KT=[YopM細胞内]/[YopM細胞外]は、たとえばCy3の蛍光を決定することによって、細胞内細胞画分[YopM細胞内]中の標識の量を測定し、インキュベーションに使用した元の量[YopM細胞外]と比較することによって決定し得る。あるいは、ELISA方法、または、たとえば、Langel,U.(編)(細胞浸透性ペプチドのハンドブック(Handbook of cell−penetrating peptides)、CRC Press、フロリダ州Boca Raton、2007)およびLangel,U.(編)(細胞浸透性ペプチド:プロセスおよび応用(Cell−penetrating peptides:Processes and Applications)、CRC Press、フロリダ州Boca Raton、2002)に記載されているものなどの、放射活性計数、ビオチン化/細胞−ELISA、蛍光標識/分光光度計/FACS、共鳴エネルギー移動、HPLC検出、免疫検出、蛍光相関顕微鏡観察(FCM)、キャピラリー電気泳動による細胞活性(CACE)、もしくはMALDI−TOF MSを含めた、当業者に知られているさらなる対応する方法を使用し得る。] [0034] 分子、特に本発明のYopMポリペプチドおよび/または断片もしくは変異体が、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるかどうかを決定するための試験は、好ましくは、本明細書中のたとえば実施例中に記載した試験である。] [0035] 別の好ましい実施形態では、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができる、本明細書中に記載したYopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体は、細胞核に入ることもできる。用語「細胞核に入る」とは、YopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体が細胞の核膜を横切って通過することを意味する。YopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体が細胞核に入る能力は、添付の実施例中で実証されており、当業者に知られている任意の適切な方法およびアッセイによって、好ましくは、Hallbrink M.他(2004)(Biochem.Biophys.Acta、1667:222)およびNare B.他(1999)(Anal.Biol.、267:390)に記載されている核移行アッセイによって試験することができる。] [0036] 好ましい実施形態では、YopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体が細胞核に入る能力は、核移行配列(NLS)の存在に関連している。より好ましくは、YopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体は、当業者に知られているYopM NLS、たとえば、YopMのロイシンリッチリピート1〜3、好ましくは配列番号4のロイシンリッチリピート1〜3中に存在するNLSを含む。好ましい実施形態では、医薬組成物の状況で使用するYopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体は、このNLS配列、すなわちYopMのロイシンリッチリピート1〜3を含み、より好ましくは配列番号4のアミノ酸74〜133を含む。] [0037] 本発明による用語「YopM」は、エルシニア外側タンパク質Mに関する。この用語には、Boland A他、EMBO J.、1996年10月1日;15(19):5191〜201;Cornelis GR.J.Bacteriol.、1998年11月;180(21):5495〜504;Skrzypek,E.、Cowan,C.およびStraley,S.C.(1998)Mol.Microbiol.、30:1051〜1065;McDonald,C.、Vacratis,P.O.、Bliska,J.B.およびDixon,J.E.(2003)J.Biol.Chem、278:18514〜18523;Skrzypek E、Myers−Morales T、Whiteheart SW、Straley SC.Infect.Immun.、2003年2月;71(2):937〜47;Kerschen,E.J.、Cohen,D.A.、Kaplan,A.M.およびStranley,S.C.(2004)Infect.Immun.、72:4589〜4602ならびにHeusipp,G.、Spekker,K.、Brast,S.、Falker,S.およびSchmidt,M.A.(2006)Microbiol.、152:1327〜1335に記載されている、または、当業者に知られている任意の生物学的データベース、たとえばGenbankデータベースから得られる、エルシニア外側タンパク質Mが含まれる。] [0038] 好ましい実施形態では、用語「YopM」とは、YopMをコードしている病原性プラスミドを天然に含むエルシニア属菌株のエルシニア外側タンパク質Mに関する。用語「YopMをコードしている病原性プラスミド」とは、たとえばエンテロコリチカ菌、偽結核菌およびペスト菌中に存在すると記載されている、プラスミドpYVまたはpCD1に関する(Cornelis他、Microbiol.Mol.Biol.Rev.、62:1315〜1352(1998))。] [0039] さらなる好ましい実施形態では、用語「YopM」とは、エンテロコリチカ菌、偽結核菌およびペスト菌の種から選択されるエルシニア外側タンパク質Mに関する。より好ましくは、用語「YopM」とは、エンテロコリチカ菌8081v、血清型O:8から選択されるエルシニア外側タンパク質Mに関する。] [0040] また、用語「YopM」、その断片または変異体は、配列番号1、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択される任意のアミノ酸配列を含むポリペプチド/アミノ酸配列にも関する。] [0041] これらのエルシニア外側タンパク質Mのアミノ酸配列をコードしているポリヌクレオチドも想定される。] [0042] 用語「YopM断片」とは、本明細書中で上述した本発明による「YopM」ポリペプチドの一部分に関する。特に、用語「YopM断片」とは、上記定義した、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を保持している、本明細書中に記載した本発明によるエルシニア外側タンパク質M中に含まれる短いアミノ酸配列をいう。タンパク質断片は、「遊離状態」である、すなわち、その天然の環境(YopMである)から分離して取り出されていてもよく、あるいは、ポリペプチドと付着しているか、または、断片がたとえば単一の連続した領域として一部もしくは領域を形成するポリペプチド内に含まれていてもよい。「付着している」には、YopM断片およびYopMポリペプチドが、単一の連続した領域として単一の核酸上で/から発現される/発現可能である、または両方の部分が他の様式で連結/カップリングされていることが含まれる(たとえば、ビオチン/ストレプトアビジン等の化学結合によってなど)。2つの部分、特に2つのタンパク質を「付着」させる方法は、当業者に周知である。] [0043] YopM断片が「付着している」または「内側(内部)に含まれる」ポリペプチドは、YopMに対して異種であることが好ましい、すなわち、限定するものではないが、エルシニア属菌に由来しないものであることが好ましい。] [0044] 用語「エルシニア外側タンパク質Mに含まれる短いアミノ酸配列」には、それだけには限定されないが、約アミノ酸数1〜30、31〜60、61〜90、91〜120、121〜150、151〜180、181〜210、211〜230、231〜260、261〜290、291〜320、321〜350、351〜380、381〜410、411〜440、441〜470、471〜500、501〜530、または531からコード領域の最後までの断片が含まれる。さらに、ポリペプチド断片は、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540または545個のアミノ酸の長さであることができる。この状況では、用語「約」には、いずれかの末端または両末端で、数個のアミノ酸、好ましくは5、4、3、2、または1個のアミノ酸だけ長いまたは短い、具体的に列挙した範囲が含まれる。] [0045] 好ましいポリペプチド断片は、アミノもしくはカルボキシ末端または両方から、連続した一連の残基が欠失している。たとえば、1〜30、1〜60、1〜90、1〜120、1〜150、1〜180、1〜210、1〜230、1〜250、1〜280、1〜310、1〜340、1〜370、1〜400、1〜430、1〜460、1〜490、1〜520、1〜545の範囲の任意の数のアミノ酸が、本明細書中で上述した本発明によるYopMタンパク質のアミノ末端から欠失していることができる。同様に、1〜30、1〜60、1〜90、1〜120、1〜150、1〜180、1〜210、1〜230、1〜250、1〜280、1〜310、1〜340、1〜370、1〜400、1〜430、1〜460、1〜490、1〜520、1〜545の範囲の任意の数のアミノ酸が、分泌されたタンパク質または成熟体のカルボキシ末端から欠失していることができる。さらに、上記アミノおよびカルボキシ末端の欠失の任意の組合せが企図される。] [0046] αヘリックスおよびαヘリックス形成領域、βシートおよびβシート形成領域、ターン−ターン形成領域、コイル−コイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域、β両親媒性領域、柔軟領域、表面形成領域、ロイシンリッチ領域、ロイシンリッチリピート、ロイシンリッチリピート領域、および高抗原指数領域を含む断片などの、構造的または機能的ドメインによって特徴づけられたYopM−ポリペプチド断片がさらに企図される。さらに、保存的ドメインの範囲内にある、本明細書中で上述した本発明によるYopMのポリペプチド断片が、本発明によって具体的に企図される。] [0047] これらの断片/ドメインをコードしているポリヌクレオチドも企図される。] [0048] 本発明の状況では、用語「YopM断片」には、YopM断片が生物活性のある断片であることが含まれる。用語「生物活性のある」とは、YopM断片がYopMの上述した生物活性を有する、すなわち、本発明の断片が、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有することを意味する。本発明の「生物活性のある」断片のさらなる能力を、本明細書中以下に記載する。] [0049] エルシニア外側タンパク質Mまたはその断片とは異なるがその本質的な特性を保持している、たとえば、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を保持している、エルシニア外側タンパク質Mまたはその断片も企図される。一般に、そのような化合物は全体的に非常に類似している場合があり、これらは、一部または多くの領域において本発明のYopMと同一であることが想定される。] [0050] 本発明の状況では、「YopM変異体」には、本明細書中に記載したYopMポリペプチド配列、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7もしくは配列番号8として同定されたYopMポリペプチドおよび/または本明細書中に提供するポリペプチドのうちの任意のもののポリペプチド断片(たとえば、本明細書中に記載の断片)と、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、あるいはそれからなる、本明細書中に記載したYopMポリペプチド配列が包含される。さらに、これらの変異体をコードしているポリヌクレオチドも企図される。] [0051] 好ましくは、本明細書中に記載したYopMポリペプチド配列、たとえば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7もしくは配列番号8として同定されたYopMポリペプチドおよび/または本明細書中に提供するポリペプチドのうちの任意のもののポリペプチド断片と、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるYopMポリペプチド配列は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を本質的に保持している。] [0052] 任意の特定のポリペプチドが、本明細書中で上述したYopMポリペプチド配列と少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、当業者に知られている任意の手段によって、たとえば、慣習的に知られているコンピュータプログラムを用いることによって決定することができる。網羅的配列アラインメントとも呼ばれる、クエリー配列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体一致を決定するための好ましい方法は、Higgins,D.G.他、Computer Applications in the Biosciences(CABIOS)、8(2):189〜191、(1992)のアルゴリズムに基づくCLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson,J.D.他、Nucleic AcidsResearch、2(22):4673〜4680、(1994))を用いて決定することができる。前記網羅的配列アラインメントの結果は%同一性である。対でのアラインメントを介して%同一性を計算するための、タンパク質配列のCLUSTALWアラインメントで使用する好ましいパラメータは、マトリックス=Gonnet、k−タプル=1、上位対角数=5、ギャップペナルティ=3、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ=0.1、スコア付け方法=パーセンテージ、ウィンドウサイズ=5または対象ポリペプチド配列長さのどちらか短い方である。上記CLUSTALWについて提供した対および複数アラインメントパラメータは、AlignXソフトウェアプログラム(VectorNTIプログラムスイート)で提供された初期設定パラメータを表す。] [0053] 本発明には、内部欠失ではなくN末端またはC末端の欠失が原因で対象配列がクエリー配列よりも短い場合に、%同一性の結果に手動の補正を適用することが包含される。局所的な対での%同一性のみが必要な場合は、手動の補正は必要ない。] [0054] しかし、網羅的なポリペプチドアラインメントから網羅的な%同一性を決定するために、手動の補正を適用し得る。多くの場合、網羅的なポリペプチドアラインメントに基づく%同一性の計算が、局所的にのみ一致するポリペプチドとは対照的に、全体(すなわち、重複する領域だけでなくすべてのオーバーハングが含まれる)としてのポリペプチド分子間の%同一性を反映しているため、好ましい。CLUSTALWプログラムは、%同一性を計算する際に対象配列のN末端またはC末端の切断を考慮しないため、網羅的な%同一性の決定のための手動の補正が必要である。クエリー配列と比較してN末端またはC末端が切断された対象配列では、%同一性は、対象配列のN末端またはC末端であり、一致/アラインメントしていないクエリー配列のアミノ酸の数を、クエリー配列の全アミノ酸の割合として計算することによって、補正する。アミノ酸が一致/アラインメントしているかどうかは、CLUSTALW配列アラインメントの結果によって決定される。その後、このパーセンテージを、指定したパラメータを用いて上記CLUSTALWプログラムによって計算した%同一性から減算して、最終的な%同一性スコアが得られる。この補正したスコアを本発明の目的のために使用し得る。] [0055] アラインメントした配列の%同一性の値を得るための、2つ以上のポリペプチド配列をアラインメントする上記方法に加えて、一部の状況では、たとえばそれぞれの配列のSWISS−PROT指定などの、アラインメントする配列の既知の構造的特徴を考慮する、CLUSTALWアルゴリズムの変形バージョンを使用することが望ましい場合がある。そのような変形CLUSTALWアルゴリズムの結果により、2つのポリペプチド配列の%同一性のより正確な値が提供され得る。CLUSTALWのそのような変形バージョンのサポートはCLUSTALWアルゴリズム内に提供されており、当業者には容易に理解されるであろう。] [0056] 本発明によるYopM変異体をコードしているポリヌクレオチドは、コード領域、非コード領域、または両方中に変更を含み得る。たとえば、YopMまたはYopM変異体をコードしているポリヌクレオチドは、サイレント置換、付加、または欠失を生じるがコードされているポリペプチドの特性または活性を変更しない、変更を含み得る。遺伝暗号の縮重によるサイレント置換によって生じるヌクレオチド変異体が好ましい。] [0057] 本発明の状況では、用語「YopM変異体」には、YopM変異体が生物活性のあるYopM分子またはその断片であることも含まれ、好ましくは、この用語は、YopM断片がYopMの生物活性を有することを意味する。本発明の変異体が、本明細書中で定義した、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有することが想定される。また、本明細書中で上述したアッセイに従って試験することができるように、断片/変異体が、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有することも想定される。そのような変異体には、活性にわずかな影響しか与えられないように当分野で知られている一般的な規則に従って選択された、欠失、挿入、反転、反復、および置換が含まれ得る。たとえば、表現型がサイレントなアミノ酸置換の作製に関する指針は、Bowie他(Science、247:1306〜1310(1990))に提供されており、その著者らは、アミノ酸配列が変化する許容性を研究するための2つの主な戦略が存在することを指摘している。] [0058] 第1の戦略では、進化過程の自然選択によるアミノ酸置換の許容性を利用する。様々な種においてアミノ酸配列を比較することによって、保存的アミノ酸を同定することができる。こうした保存的アミノ酸は、タンパク質の機能に重要である可能性が高い。対照的に、自然選択によって置換が許容されたアミノ酸位置は、この位置がタンパク質の機能に重要でないことを示している。したがって、アミノ酸置換が許容される位置は、タンパク質の生物活性を維持したままで改変することができる。] [0059] 第2の戦略では、クローニングした遺伝子の具体的な位置にアミノ酸変化を導入して、タンパク質の機能に重要な領域を同定するために、遺伝子操作を使用する。たとえば、部位特異的突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発(分子中のすべての残基に単一のアラニン突然変異を導入)を使用することができる(CunninghamおよびWells、Science、244:1081〜1085(1989))。その後、生じた突然変異体分子を、生物活性について試験することができる。著者らが述べているように、これら2つの戦略により、タンパク質が驚くべきことにアミノ酸置換に対して許容性があることが明らかとなった。著者らは、タンパク質中の特定のアミノ酸位置においてアミノ酸変化が許される可能性が高いことを、さらに示している。たとえば、ほとんどの埋まっている(タンパク質の三次構造の内部にある)アミノ酸残基は非極性の側鎖を必要とする一方で、表面側鎖の特長は一般にわずかしか保存的でない。] [0060] 本発明には、より低い度合の同一性を有するが、本明細書中で上述したYopMによって行われるものと同じ機能のうちの1つまたは複数を行うため、好ましくは、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を保持するために十分な類似度を有する、YopMポリペプチドが包含される。類似度は保存的アミノ酸置換によって決定される。そのような置換は、ポリペプチド中の所定のアミノ酸を、同様の特徴(たとえば化学特性)の別のアミノ酸によって置換するものである。Cunningham他、上記によれば、そのような保存的置換は、表現型がサイレントである可能性が高い。どのアミノ酸変化が、表現型がサイレントである可能性が高いかに関するさらなる指針は、Bowie他、(Science、247:1306〜1310(1990))に見つかる。本発明の許容される保存的アミノ酸置換は、脂肪族または疎水性のアミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの置換え;ヒドロキシル残基SerおよびThrの置換え;酸性残基AspおよびGluの置換え;アミド残基AsnおよびGlnの置換え、塩基性残基Lys、Arg、およびHisの置換え;芳香族残基Phe、Tyr、およびTrpの置換え、ならびに小アミノ酸Ala、Ser、Thr、Met、およびGlyの置換えを含む。] [0061] 上に列挙した正準の化学的な保存的置換とは別に、本発明には、典型的には保存的であると分類されないが、特定の状況下では化学的に保存的であり得る置換も包含される。] [0062] 保存的アミノ酸置換以外に、本発明の「YopM」「YopM断片」および/または「YopM変異体」には、それだけには限定されないが、(i)置換されたアミノ酸残基が遺伝暗号によってコードされているものであってもなくてもよい非保存的アミノ酸残基のうちの1つまたは複数での置換、あるいは(ii)置換基を有するアミノ酸残基のうちの1つまたは複数での置換、あるいは(iii)ポリペプチドの安定性および/または溶解度を増加させるための、ポリペプチドと別の化合物との融合(たとえばポリエチレングリコール)、あるいは(iv)ポリペプチドと、追加のアミノ酸、たとえば、IgGFc融合領域ペプチド、またはリーダーもしくは分泌配列、または精製を容易にする配列との融合が含まれる。そのような変異体ポリペプチドは、本明細書中の教示から、当業者の技術範囲内にあるとみなされる。] [0063] たとえば、荷電アミノ酸の他の荷電または中性アミノ酸によるアミノ酸置換を含むポリペプチド変異体は、より少ない凝集などの、改善された特徴を有するタンパク質を生じ得る。製剤の凝集は、凝集体の免疫原性活性が原因で、活性の減少およびクリアランスの増加をどちらももたらす。(Pinckard他、Clin.Exp.Immunol.、2:331〜340(1967);Robbins他、Diabetes、36:838〜845(1987);Cleland他、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems、10:307〜377(1993))。さらに、本発明には、本明細書中で上述したYopMに分子進化(「DNAシャフリング」)方法を適用することで作製されたポリペプチド変異体も含まれる。そのようなDNAシャフリング技術は当業者に知られており、たとえば、Stemmer、(PNAS、91:10747、(1994)またはLeong他、(PNAS、100:1163〜1168(2003))から得られる。] [0064] 具体的な実施形態では、用語「YopM変異体」は、配列番号4とは異なるYopMポリペプチド、たとえば、エンテロコリチカ菌8081v、血清型O:8に由来しないYopMポリペプチドにも言及する。] [0065] また、用語「YopM」、「YopM断片」および/または「YopM変異体」には、一般的なアミノ酸のD−異性体、2,4−ジアミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、γ−Abu、ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、たとえばβ−メチルアミノ酸、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸、およびアミノ酸類似体全般を含めた、非古典的アミノ酸を含むYopMポリペプチドも含まれる。さらに、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であることができる。] [0066] また、用語「YopM」、「YopM断片」および/または「YopM変異体」には、翻訳中またはその後に、たとえば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、またはタンパク質分解的切断などによって、示差的に修飾されたYopMポリペプチドも含まれる。数々の化学修飾のうちの任意のものを、それだけには限定されないが、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元による特異的化学切断;またはツニカマイシンの存在下における代謝合成などを含めた、既知の技術によって実施し得る。] [0067] 本発明によって包含されるさらなる翻訳後修飾には、たとえば、N−結合またはO−結合の炭水化物鎖、N末端またはC末端のプロセッシング、アミノ酸主鎖への化学部分の付着、N−結合またはO−結合の炭水化物鎖の化学修飾、および原核宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失が含まれる。] [0068] また、「YopM」、「YopM断片」および/または「YopM変異体」は、タンパク質の検出および単離、エピトープでタグ付けしたペプチド断片の付加(たとえば、His、FLAG、HA、GST、チオレドキシン、マルトース結合タンパク質等)、ビオチンおよび/またはストレプトアビジンなどの親和性タグの付加、アミノ酸主鎖への化学部分の共有結合、ポリペプチド末端のNまたはC末端プロセッシング(たとえばタンパク質分解性プロセッシング)、N末端メチオニン残基の欠失などを可能にするために、酵素、蛍光、同位体または親和性の標識などの検出可能な標識で修飾してもよい。] [0069] また、用語「YopM」、「YopM断片」および/または「YopM変異体」には、ポリペプチドの溶解度、安定性、および循環時間の増加など、すなわち、全体でその半減期を増加させる、または免疫原性を低下させる、さらなる利点を提供し得る、化学修飾した誘導体も包含される(米国特許第4,179,337号を参照)。誘導体化の化学部分は、水溶性ポリマー、たとえば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどから選択され得る。ポリペプチドは、分子内のランダムな位置、または分子内の事前に決定された位置で修飾してよく、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの付着した化学部分が含まれていてよい。好ましくは、化合物が親水性ポリマー残基である場合の化学誘導体化が企図される。誘導体を含めた例示的な親水性ポリマーは、反復単位が1つまたは複数のヒドロキシ基を含むポリマー(ポリヒドロキシポリマー)が含まれるもの[たとえばポリ(ビニルアルコール)が含まれる];反復単位が1つまたは複数のアミノ基を含むポリマー(ポリアミンポリマー)が含まれるもの[たとえば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質ならびにアルブミンおよび天然リポタンパク質などのリポタンパク質が含まれる];反復単位が1つまたは複数のカルボキシ基を含むポリマー(ポリカルボキシポリマー)が含まれるもの[たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ならびにアルギン酸ナトリウムおよびカルシウムなどのその塩、グリコサミノグリカンならびにヒアルロン酸の塩を含めたその塩、炭水化物のリン酸化およびスルホン酸誘導体、インターロイキン−2およびインターフェロンなどの遺伝物質、ホスホロチオエートオリゴマーが含まれる];反復単位が1つまたは複数の糖部分を含むポリマー(多糖ポリマー)が含まれるもの[たとえば炭水化物が含まれる]であり得る。] [0070] 親水性ポリマーの分子量は変動する場合があり、一般には約50〜約5,000,000であり、約100〜約50,000の分子量を有するポリマーが好ましい。ポリマーは分枝状または非分枝状であり得る。より好ましいポリマーは約150〜約10,000の分子量を有し、200〜約8,000の分子量がさらにより好ましい。] [0071] ポリエチレングリコールでは、取扱いおよび製造を容易にするために、好ましい分子量は約1kDa〜約100kDaである(用語「約」とは、ポリエチレングリコールの調製において、一部の分子は記述した分子量よりも重く、一部は軽いことを示す)。所望の治療プロフィール(たとえば、所望の持続放出の期間、存在する場合は生物活性に対する効果、取扱いの容易さ、治療的タンパク質または類似体に対するポリエチレングリコールの抗原性および他の既知の効果の度合または欠如)に応じて、他の大きさを使用し得る。本発明の化合物を誘導体化するために使用し得る追加の好ましいポリマーには、たとえば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリオキソマー、ポリソルベートおよびポリ(ビニルアルコール)が含まれ、PEGポリマーが特に好ましい。PEGポリマーの中では、とりわけ、約100〜約10,000の分子量を有するPEGポリマーが好ましい。より好ましくは、PEGポリマーは約200〜約8,000の分子量を有し、それぞれ2,000、5,000および8,000の分子量を有するPEG2,000、PEG5,000およびPEG8,000がさらにより好ましい。上記に例示したものに加えて、他の適切な親水性ポリマーが当業者に知られている。一般に、使用するポリマーには、アルキル化またはアシル化反応によって本発明のポリペプチドに付着させることができるポリマーが含まれる。] [0072] ポリエチレングリコール分子(または他の化学部分)は、タンパク質の機能的または抗原性ドメインに対する効果を考慮して、本発明の化合物に付着しているべきである。当業者が利用できるいくつかの付着方法、たとえばEP0 401 384号から得られるものが存在する。たとえば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノまたはカルボキシル基などの反応基を介してアミノ酸残基と共有結合させ得る。反応基とは、活性化したポリエチレングリコール分子が結合し得るものである。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基には、リシン残基およびN末端アミノ酸残基が含まれ;遊離カルボキシル基を有するものには、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基が含まれ得る。また、スルフヒドリル基もポリエチレングリコール分子を付着させるための反応基として使用し得る。治療目的に好ましいのは、N末端またはリシン基での付着などの、アミノ基での付着である。N末端で化学修飾されたタンパク質を具体的に所望し得る。] [0073] 本組成物の例示としてポリエチレングリコールを使用して、様々なポリエチレングリコール分子から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中のポリエチレングリコール分子とタンパク質(ポリペプチド)分子との割合、行うペグ化反応の種類、および選択したN末端ペグ化タンパク質を得る方法を選択し得る。] [0074] N末端ペグ化調製物を得る(すなわち、必要な場合はこの部分を他のモノペグ化部分から分離する)方法は、N末端ペグ化物質をペグ化タンパク質分子の集団から精製することによるものであり得る。] [0075] N末端修飾で化学修飾された選択的タンパク質は、特定のタンパク質中で誘導体化に利用可能な様々な種類の第一級アミノ基(リシン対N末端)の示差的な反応性を利用する、還元性アルキル化によって達成し得る。適切な反応条件下では、ポリマーを含むカルボニル基を用いた、タンパク質のN末端の実質的に選択的な誘導体化が達成される。] [0076] 上記例示した様々なポリマーと同様に、ポリマー残基が、たとえば、本発明に従ってポリマー残基を本発明の化合物と連結させることに典型的に関与しているものに加えて、官能基を含み得ることが企図される。そのような官能基には、たとえば、カルボキシル、アミン、ヒドロキシおよびチオール基が含まれる。] [0077] 親水性ポリマーの残基に加えて、本発明のポリペプチドを誘導体化するために使用する化合物は、糖残基であることができる。誘導体化することができる例示的な糖には、たとえば単糖または糖アルコール、たとえば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールおよびセドヘプツロースが含まれ、好ましい単糖はフルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、マンニトールおよびソルビトールであり、また、二糖、たとえば、ラクトース、スクロース、マルトースおよびセロビオースも含まれる。他の糖には、たとえば、イノシトールおよびガングリオシド頭部基が含まれる。上記例示したものに加えて、他の適切な糖は、本開示に基づいて当業者に容易に明らかであろう。一般に、誘導体化に使用し得る糖には、アルキル化またはアシル化反応によって本発明のポリペプチドに付着させることができる糖が含まれる。] [0078] さらに、本発明には、本発明の化合物の、たとえば、脂質(陽イオン、陰イオン、重合体、荷電、合成、飽和、不飽和、および上記の任意の組合せなどが含まれる)または安定化剤との誘導体化も包含される。好ましくは、本発明には、安定化機能の役割を果たし得る化合物(たとえば、溶液中のポリペプチド半減期を増加させるため、ポリペプチドをより水溶性にするため、ポリペプチドの親水性または疎水性の特徴を増加させるためなど)を用いたYopMの誘導体化が包含される。安定化材料として有用なポリマーは、天然、半合成(改変した天然)または合成の起源であり得る。例示的な天然ポリマーには、天然に存在する多糖、たとえば、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン(たとえばイヌリンなど)、レバン、フコイダン、カラゲナン、ガラクトカロロース(galatocarolose)、ペクチン酸、以下を含めたペクチン、すなわち、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、グルコース、ポリグルコース、ポリデキストロース、パスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンチンガム、デンプン、および様々な他の天然のホモポリマーまたはヘテロポリマー、たとえば、以下のアルドース、ケトース、酸またはアミンのうちの1つまたは複数を含むものが含まれる:エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、デキストロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リボース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸、ならびにその天然に存在する誘導体。したがって、適切なポリマーには、たとえば、タンパク質、たとえばアルブミン、ポリアルギネート、およびポリ乳酸−コグリコリドポリマーが含まれる。例示的な半合成ポリマーには、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチル−セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、およびメトキシセルロースが含まれる。例示的な合成ポリマーには、ポリホスファゼン、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイトポリマー、ポリエチレン(たとえば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、およびポリエチレンテレフタレートなど)、ポリプロピレン(たとえばポリプロピレングリコールなど)、ポリウレタン(たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニルおよびポリビニルピロリドンなど)、ナイロンを含めたポリアミド、ポリスチレン、ポリ乳酸、フッ素化炭化水素ポリマー、フッ素化炭素ポリマー(たとえばポリテトラフルオロエチレンなど)、アクリレート、メタクリレート、およびポリメチル−メタクリレート、ならびにその誘導体が含まれる。ポリマーを安定化化合物として用いる本発明の誘導体化したポリペプチドを調製する方法は、米国特許第5,205,290号に記載されているものおよびその中で引用されているものなどの、当分野で知られている情報と合わせた際に、本開示に鑑みて当業者に容易に明らかであろう。さらに、用語「YopM変異体」は、本発明のYopMポリペプチドのさらなる改変にも関する。そのようなさらなる改変は当分野で知られており、誘導体化方法などに加えて米国特許第6,028,066号に具体的に提供されている。] [0079] 本発明の好ましい実施形態では、本明細書中に記載したYopM断片および/またはYopM変異体は、少なくとも1つ、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのYopMのαヘリックスを含む。用語「YopMのαヘリックスのうちの少なくとも1つ」とは、当分野で知られている方法に従って決定することができる、本明細書中で上述したYopMポリペプチド内、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8のうちの任意の1つ内のαヘリックス構造に関する。αヘリックス構造は、たとえばEvdokimov他(J.Mol.Biol.、312:807〜821(2001))に記載されている。αヘリックス構造は、ポリペプチド中の他の構造要素に関して任意の配向または順序であり得る。αヘリックス構造は、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはポリペプチドもしくは分子内の任意の他の適切な位置に局在していてもよい。配列番号4のアミノ酸位置1〜51または52〜73を含むYopMの一部分も企図される。好ましくは、そのようなYopM断片またはYopM変異体は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有する。既に言及したように、この能力は、本明細書中で上述したアッセイまたは他の様式に従って試験することができる。] [0080] この観点から、添付の実施例は、YopMの少なくとも1つのαヘリックスが、追加の要素を必要としない細胞膜の自己浸透および細胞サイトゾル内への組込みを媒介するために十分であることを明らかに証明している(たとえば図4を参照)。] 図4 [0081] さらなる実施形態では、本明細書中に記載したYopM断片またはYopM変異体は、YopMのαヘリックスのうちの少なくとも2つ含む。用語「YopMのαヘリックスのうちの少なくとも2つ」とは、当分野で知られている方法に従って決定することができる、本明細書中で上述したYopMポリペプチド内、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8のうちの任意の1つ内の、少なくとも2つ、すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くの独立したαヘリックス構造の組合せに関する。αヘリックス構造は、たとえばEvdokimov他(J.Mol.Biol.、312:807〜821(2001))に記載されている。αヘリックス構造は、1つのポリペプチド中における1つのαヘリックス構造の複製および2つの異なるαヘリックス構造の存在を含めて、ポリペプチド中の他の構造要素に関して任意の配向または順序であり得る。αヘリックス構造は、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはポリペプチドもしくは分子内の任意の他の適切な位置に局在していてもよい。] [0082] 配列番号4のアミノ酸位置1〜51および52〜73を含むYopMの一部分も企図される。さらなる実施形態では、配列番号4のアミノ酸位置1〜51を含むYopMの一部分が複製されているか、または配列番号4のアミノ酸位置52〜73を含むYopMの一部分が複製されていてもよい。さらに、配列番号4のアミノ酸位置1〜51および配列番号4のアミノ酸位置52〜73を含むYopMの一部分が任意の配向または順序であり得る。これは、配列番号4のアミノ酸位置1〜51は、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはより大きなポリペプチドもしくは分子構造内の任意の他の適切な位置に局在していてもよいことを意味する。さらに、配列番号4のアミノ酸位置52〜73は、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはより大きなポリペプチドもしくは分子構造内の任意の他の適切な位置に局在していてもよい。] [0083] 好ましくは、そのようなYopM断片またはYopM変異体は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有する。これは、本明細書中に記載したアッセイに従って試験することができる。この観点から、添付の実施例は、YopMの少なくとも2つのαヘリックスが、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれるために十分であることを明らかに証明している(たとえば図11を参照)。] 図11 [0084] さらなる実施形態では、本明細書中で上述したαヘリックスのうちの1つまたは2つを含むYopM断片またはYopM変異体は、少なくとも1つのYopMロイシンリッチリピートをさらに含み得る。用語「少なくとも1つのYopMロイシンリッチリピート」とは、分野で知られている方法に従って決定することができる、本明細書中で上述したYopMポリペプチド中、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8のうちの任意の1つに存在するロイシンリッチリピートに関する。そのようなロイシンリッチリピートはEvdokimov他(J.Mol.Biol.、312:807〜821(2001))に記載されている。ロイシンリッチリピートは、第2のもしくはさらなるロイシンリッチリピートに関して、および/または本明細書中で上述した1つもしくは2つのαヘリックス構造に関して、および/またはポリペプチド中の他の構造要素に関して、任意の配向または順序であり得る。ロイシンリッチリピートは、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはポリペプチドもしくは分子内の任意の他の適切な位置に局在していてもよい。] [0085] また、この用語には、配列番号4のアミノ酸位置74〜93、94〜113、114〜133、134〜155、156〜175、176〜197、198〜217、218〜237、238〜257、258〜277、278〜297、298〜317、または318〜337を含むYopMの一部分も包含される。] [0086] 好ましくは、そのようなYopM断片またはYopM変異体は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有する。これは、本明細書中に記載したアッセイに従って試験することができる。] [0087] さらなる実施形態では、本明細書中で上述したαヘリックスのうちの1つまたは2つを含むYopM断片またはYopM変異体は、YopMのロイシンリッチリピート1〜3をさらに含み得る。用語「YopMのロイシンリッチリピート1〜3」とは、当分野で知られている方法に従って決定することができる、本明細書中で上述したYopMポリペプチド中、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8のうちの任意の1つ中に存在する最初の3個のN末端ロイシンリッチリピートに関する。YopMのロイシンリッチリピート1〜3はEvdokimov他(J.Mol.Biol.、312:807〜821(2001))にも記載されている。ロイシンリッチリピート1〜3は、さらなるロイシンリッチリピートに関して、および/または本明細書中で上述した1つもしくは2つのαヘリックス構造に関して、および/またはポリペプチド中の他の構造要素に関して、任意の配向または順序であり得る。ロイシンリッチリピート1〜3は、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはポリペプチドもしくは分子内の任意の他の適切な位置に局在していてもよい。] [0088] 配列番号4のアミノ酸位置74〜133を含むYopMの一部分も企図される。] [0089] 好ましくは、そのようなYopM断片またはYopM変異体は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有する。これは、本明細書中に記載したアッセイに従って試験することができる。] [0090] さらなる好ましい実施形態では、YopM断片は、配列番号4のアミノ酸1〜239、配列番号4のアミノ酸55〜367、配列番号4のアミノ酸1〜73、配列番号4のアミノ酸52〜73、配列番号4のアミノ酸1〜133および配列番号4のアミノ酸52〜133から選択される任意のアミノ酸配列を含む。さらに、YopM断片は、配列番号4のアミノ酸1〜51、および同時に、すなわち同じポリペプチド上に、アミノ酸74〜133を含み得る。この場合、配列番号4のアミノ酸1〜51および74〜133は、直接融合しているか、または、1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16から50個のアミノ酸のスペーサーがアミノ酸配列間に位置していてもよい。上述のアミノ酸配列は、ポリペプチド中の他の構造要素に関して任意の配向または順序であり得る。アミノ酸配列は、N末端もしくはC末端に位置していてもよいか、またはポリペプチドもしくは分子内の任意の他の適切な位置に局在していてもよい。] [0091] 好ましくは、そのようなYopM断片は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有する。これは、本明細書中に記載したアッセイに従って試験することができる。] [0092] 免疫調節を媒介するYopM内のドメインを分析および位置決定するために、以前に記載したYopMの切断された型(実施例2を参照)を用いて分化したHL60細胞を処理した。本発明者らは自己浸透能力が免疫調節に必要であると推定したため、対照タンパク質YopM87−C以外では、すべて依然として宿主の細胞膜に浸透することができる、YopMのこの型のみを使用した(実施例2を参照)。細胞に自己浸透しない対照タンパク質YopM87−Cは、TNFαの転写を減少させることができなかった一方で、自己浸透する型であるYopMN−239およびYopM55−Cは、依然としてTNFαの転写を減少させることができた(図11を参照)。これらの結果により、免疫調節におけるYopMのC末端および最初のアミノ末端のヘリックスの役割が排除される。YopMの両方のαヘリックスを含む融合タンパク質2αH−GFPが、もはやTNFαの転写を減少させることができなくなったことは(図11)、YopMのLRR1〜8が潜在的な免疫調節ドメインを保有していることを示している。さらに、この結果により、免疫調節におけるYopMのアミノ末端αヘリックスの役割が排除される。] 図11 [0093] 特に好ましい実施形態では、本発明の化合物は、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を有するが、同時に、免疫調節能力を本質的に有さない、すなわち、これらは免疫調節ドメイン(特にロイシンリッチリピート)を含まない、および/または免疫調節ドメインが失活している(たとえば、欠失、挿入などの突然変異による、または他の様式による)。「免疫調節能力を本質的に有さない」とは、本発明の化合物が、たとえば培地自体および/またはYopM87−Cなどの陰性対照と比較した場合に、たとえばTNFαなどの1つまたは複数のサイトカイン(好ましくはそのmRNA)を、約5%以下、10%、15%、20%、25%、30%、40%、または50%しかダウンレギュレーションしないことを意味する。用語「サイトカイン」および「ダウンレギュレーションする」は、本明細書中以下にさらに記載する。サイトカインのmRNAのダウンレギュレーションを決定するためのアッセイも、同様に本明細書中以下に詳述する。] [0094] 本発明のYopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体は、当業者に知られている任意の適切な方法によって組換え産生することができる。したがって、本発明には、YopMポリペプチドまたはYopMの変異体もしくは断片もしくは免疫調節ドメインを産生する方法も包含される。] [0095] したがって、本発明は、本発明のYopMポリペプチド、YopM断片もしくはYopM変異体またはYopMの免疫調節ドメインをコードしているポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、これらのポリヌクレオチドおよび/またはベクターを含む宿主細胞、ならびに、組換え技術によるYopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体の産生を企図する。適切なベクターは、たとえば、ファージ、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターは、複製能力があるまたは複製に欠陥があるものであり得る。後者の場合、ウイルス繁殖は、一般に、補完性の宿主細胞中でのみ起こる。] [0096] YopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体をコードしているポリヌクレオチドは、宿主中での繁殖のために、選択マーカーを含むベクターと結合させ得る。] [0097] 示したように、発現ベクターには、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーが含まれる。そのようなマーカーには、たとえば、真核細胞での培養には、ジヒドロ葉酸還元酵素、G418、またはネオマイシン耐性、ならびに大腸菌および他の細菌中での培養には、テトラサイクリン、カナマイシン、またはアンピシリン耐性の遺伝子が含まれる。] [0098] 適切な宿主の代表的な例には、それだけには限定されないが、細菌細胞、たとえば、大腸菌、ストレプトマイセス属およびネズミチフス菌の細胞;真菌細胞、たとえば酵母細胞(たとえば、出芽酵母またはピキア・パストリス);昆虫細胞、たとえば、キイロショウジョウバエS2およびスポドプテラ・フルギペルダSf9の細胞;動物細胞、たとえば、CHO、COS、HEK293、およびボーズ(Bowes)黒色腫細胞;ならびに植物細胞が含まれる。上述の宿主細胞の適切な培地および条件は当分野で知られている。] [0099] 細菌における使用が好ましいベクターは、当業者に知られている。] [0100] 宿主細胞内への構築体の導入は、Davis他(Basic MethodsIn Molecular Biology(1986))などの、多くの標準の実験室の手引きに記載の方法によって達成することができる。] [0101] 本発明によるYopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体は、当業者に知られている任意の適切な方法によって組換え細胞培養物から回収および精製することができる。] [0102] また、本発明によるYopMポリペプチド、YopM断片またはYopM変異体は、直接単離したか培養したかにかかわらず、体液、組織および細胞を含めた天然源から精製した生成物;化学合成手順の生成物;ならびに組換え技術によって、たとえば、細菌、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳動物の細胞を含めた、原核または真核の宿主から産生した生成物からも回収することができる。] [0103] 具体的な実施形態では、酵母ピキア・パストリスを用いて本発明の化合物を発現させる。] [0104] さらに、本発明のYopMポリペプチド、YopM断片、YopM変異体またはYopMの免疫調節ドメインは、当分野で知られている技術を用いて化学合成することができる(Creighton、1983、タンパク質:構造および分子原理(Proteins:Structures and Molecular Principles)、W.H.Freeman&Co.、N.Y.、およびHunkapiller他、Nature、310:105〜111(1984))。たとえば、本発明のポリペプチド配列の断片に対応するポリペプチドは、ペプチド合成機を使用することによって合成することができる。] [0105] 宿主細胞の細胞質内へのYopMのT3SS非依存性の自己浸透の分析により、タンパク質のN末端αヘリックスが自己浸透に関与しているとして示唆される。CPPを用いた以前の研究と同様に、YopMタンパク質のN末端αヘリックスをカーゴトランスポーターとして用いることによって全タンパク質の細胞送達が可能であるかどうかを調査した。この目的のために、YopMのN末端αヘリックスが真核細胞内への外来タンパク質の形質導入を実際に媒介できることを確認するためにGFPをモデルタンパク質として使用した。GFPと融合した両方のαヘリックスを含む対応する構築体を作製した。2αH−GFP融合タンパク質を発現するベクターを構築するために、pET−yopMを鋳型として用いた逆PCRを行い、YopMのアミノ末端ヘリックスのコード領域のみを保有するベクターpET−2αHが生じた。Gfpの遺伝子をPCRによって増幅し、タンパク質発現のためにpET−2αHベクター内に挿入した。タンパク質を単離し、精製し、アフィニティークロマトグラフィーによってカルボキシ末端の6×Hisタグを介して濃縮した。生じた融合タンパク質2αH−GFPが宿主細胞の膜に自己浸透できるかどうかを調査するために、HeLa細胞を、組換えタンパク質2αH−GFPおよびGFPと共に、30分間37℃でインキュベーションし、蛍光顕微鏡観察(図5A)およびウエスタンブロッティング(図5B)によって分析した。単独では宿主細胞の細胞質に入ることができないGFPとは対照的に、融合タンパク質2αH−GFPは、GFPおよび2αH−GFPで処理したHeLa細胞の細胞分画後のウエスタンブロッティング分析によって示されるように、宿主の細胞膜に浸透して宿主細胞の細胞質内部に蓄積されることができる(図5B)。さらに、蛍光顕微鏡観察画像により、融合タンパク質は細胞質中に局在し、サイトゾル内部の小胞様構造中に現れるように見えることが示される(図5A:a、b、c)。これは、GFPで処理したHeLa細胞では観察されない(図5A:d、e、f)。興味深いことに、HeLa細胞を、2αH−GFPを用いて4℃の「パルスチェイス」で処置した後(エネルギー依存性の取込み機構の阻害によって引き起こされる、標的細胞の形質膜でのタンパク質の蓄積がもたらされる)、言及した2αH−GFPを含有する小胞様構造は、より細胞中心に向かってシフトし、最終的には核周囲領域中に濃縮されるが、核内部には現れない(図5A:d、e、f)。これは、融合タンパク質2αH−GFPが、細胞質膜の自己浸透後に組換えYopMと同じ細胞内経路に従うことを示している。この観察は、YopMのアミノ末端ヘリックスが細胞内輸送の情報をコードしている可能性を示唆している。この結論は、HeLa細胞を2αH−GFPおよびYopMを用いて「パルスチェイス」で処理した後の同時局在化実験によってうまく明確に示されている(図6)。組換えYopMも宿主の細胞膜の浸透後に小胞様構造中に現れる一方で(図6:a、b、c)、両方のタンパク質が、HeLa細胞とYopMおよび2αH−GFPとの合わせたインキュベーションの間にこれらの小胞様構造中に同時局在化する(図6:d、e、f、g)。これらの結果があいまって、YopMのN末端αヘリックスがカーゴタンパク質を標的細胞の細胞質内に送達することができ、したがって、他のCPPについて既に記載されているように、カーゴを真核細胞内に送達するための新しいツールとして使用し得るCPPモチーフを表すことを実証している。] 図5A 図5B 図6 [0106] したがって、本発明の状況では、本明細書中に記載したYopM、YopM断片またはYopM変異体は、膜を横切ってカーゴ分子を細胞のサイトゾルに送達するために使用し得る。] [0107] 好ましい実施形態では、本明細書中に記載したYopM、YopM断片またはYopM変異体は、カーゴ分子と連結している。用語「カーゴ分子と連結した」とは、カーゴ分子が当業者に知られている任意の手段によって本発明の化合物と連結されていてよいことを意味する(たとえば、共有、非共有など)。官能基または反応性化学基などのカーゴ分子の表面上の構造を用いて、YopM、YopM断片、YopM変異体またはYopMの免疫調節ドメインとカーゴ分子との間に連結または結合を確立することが想定される。また、「連結した」には、本発明の化合物およびカーゴ分子が、単一の連続した領域として単一の核酸上で/から発現される/発現可能であることも含まれる。タンパク質カーゴ(ポリペプチド、抗体など)および本発明の化合物からなる融合タンパク質も、同様に企図される。これらの融合タンパク質をコードしている核酸、これらの核酸を含むベクターおよびこれらのベクターまたは核酸を含む医薬組成物も、同様に企図される。] [0108] 本発明の化合物は、当業者に知られている任意の方法によって、たとえば、化学架橋結合、アビジン架橋、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ架橋、少なくとも1つ、少なくとも2つもしくは少なくとも3つのジスルフィド結合を含む連結、または少なくとも1つのペプチド結合もしくは少なくとも2つのペプチド結合によって、カーゴと連結していてよい。] [0109] カーゴ上に存在する、ヒドロキシル、アミノまたはハロゲン基などの様々な官能基を、適切な複合体形成基を付着させるためのハンドルとして使用し得る。たとえば、ヒドロキシル基を、酸性リン酸基が含まれるように改変し得る。また、連結にはジスルフィド結合が含まれることも想定される。また、連結にはストレプトアビジン−ビオチン複合体も含まれ得る。送達ペプチド、すなわち、YopM、YopM断片またはYopM変異体をビオチン標識し、カーゴ分子をアビジン標識することが想定される。したがって、「連結した」には、カーゴ分子と本発明の化合物との非共有結合/会合も含まれる。] [0110] また、送達ペプチドとカーゴとの間の連結は、ペプチド結合によっても達成し得る。これらのペプチド結合またはリンカーが含まれる例は、たとえば米国特許第5,073,627号に記載されている。] [0111] 好ましい実施形態では、カーゴは、タンパク質−タンパク質の融合体の形態でペプチド結合によって連結されている。そのようなタンパク質−タンパク質融合体では、カーゴは、アミノ酸リンカー(スペーサー)によって本発明の化合物から隔てられていてよい。そのようなリンカーは、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16から50個のアミノ酸の大きさ、または当業者に知られている任意の他の適切な大きさである。リンカーは、当業者に知られている任意の適切なアミノ酸からなり得る。好ましくは、アミノ酸グリシンを含むリンカーを使用する。リンカーはアミノ酸に限定されず、他の部分/分子、たとえばポリ(「ヒドロキシ」メチレン)基なども含み得る。] [0112] さらなる好ましい実施形態では、タンパク質−タンパク質融合体は転写融合体の形態であり得る。適切な転写融合体、および対応する構築体を作製する適切な方法は、当業者に知られている。] [0113] さらに、本発明の化合物は、切断可能なリンカーによってカーゴと連結していてよい。] [0114] カーゴを、当分野で知られているいくつかの方法を使用して、直接、たとえばカルボジイミドを用いて、または少なくとも1つの連結部分を介して改変することが想定される。特に、カルバメート、エステル、チオエーテル、ジスルフィド、およびヒドラゾン連結を形成し得る。細胞膜を横切ってカーゴを輸送した後に連結がサイトゾル中で容易に分解される場合は、エステルおよびジスルフィド連結が想定される。] [0115] さらなる実施形態では、本明細書中で上述したYopM、YopM断片またはYopM変異体は、本発明の化合物のC末端またはN末端での連結を介してカーゴと連結している。好ましくは、C末端またはN末端でのそのような連結はペプチド結合であり、より好ましくは、前記連結は、たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16から50個のアミノ酸の大きさ、または当業者に知られている任意の他の適切な大きさのスペーサーまたはリンカーの存在を含めた、タンパク質−タンパク質融合体である。リンカーは当業者に知られている任意の適切なアミノ酸からなり得る。好ましくは、アミノ酸グリシンを含むリンカーを使用する。] [0116] さらなる実施形態では、本発明の化合物をビオチン標識し、カーゴ分子をアビジン標識し、またはその逆である。] [0117] 本明細書中で使用する用語「カーゴ」または「カーゴ分子」とは、細胞の膜を横切ってまたは標的細胞のサイトゾル内に送達し得る/移行し得る/移行可能である任意の部分をいう(たとえば、小分子、巨大分子または巨大分子複合体)。「カーゴ」または「カーゴ分子」は、細胞質画分中に検出される/検出可能な場合に、小胞と会合しておよび/または既にサイトゾル内に放出されて(後者が好ましい)、細胞の膜を横切ってまたは標的細胞のサイトゾル内に移行可能/移行されるまたは送達されることが想定される。細胞質画分とは細胞の内部を表す。] [0118] 限定するものではないが、「カーゴ」がエルシニア属菌に対して異種であることが好ましい。本明細書中で使用する用語「異種」とは、エルシニア属菌に由来しない、通常/天然ではそれによって産生されない、および/またはその生存能に必要ないことを意味する。また、カーゴがYop輸送体でなく、同様に、III型分泌系の構成要素でないことが好ましい。] [0119] 細胞内への送達の後にex vivoおよび/またはin vivoで、カーゴが医学的状況において有益な効果を発揮する、すなわち、カーゴが治療的および/または診断的な活性/能力を示すことが特に好ましい。「治療活性」には、疾患の治療、寛解および/または予防が含まれる。「診断的活性」には、病理/病状を可視化、検出、識別および/または同定し、偏向を臨床像に帰することが含まれる。] [0120] 好ましくは、用語「カーゴ」には、いかなる様式でもそれだけには限定されないが、核酸、ポリペプチド、抗体またはその機能的断片、有機分子、有機小分子、金属、ナノ粒子、ウイルス、改変ウイルス、ウイルスベクター、プラスミドなどが含まれる。] [0121] 本発明は、一般に、本質的には有用な速度で標的細胞に入ることができない、タンパク質、核酸、および/または多糖などの小分子および巨大分子の、治療的、予防的、または診断的な細胞内送達に適用可能である。しかし、本発明の代替実施形態は臨床応用に限定されないことを理解されたい。本発明は、医学的および生物学的研究に有利に応用し得る。本発明の研究応用では、カーゴは、たとえば薬物またはレポーター分子であり得る。] [0122] カーゴ分子の状況における用語「核酸」とは、当業者に知られている任意の核酸、たとえば、DNA、RNA、一本鎖DNA、cDNA、またはその誘導体などのポリヌクレオチドをいう。好ましくは、この用語は、一本鎖もしくは二本鎖の標的に対するアンチセンス配列などの相補的標的とハイブリダイズするため、または、核酸転写物もしくは配列によってコードされているタンパク質を発現させるために設計された、選択された配列を有する、DNAおよびRNAから形成されたオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、ならびにその類似体をいう。類似体には、荷電および好ましくは非荷電の主鎖類似体、たとえば、ホスホネート、ホスホン酸メチル、ホスホルアミデート、好ましくはN−3’またはN−5’、チオホスフェート、非荷電モルホリノ系ポリマー、およびタンパク質核酸(PNA)が含まれる。そのような分子は、たとえば、酵素補充療法、遺伝子治療、およびアンチセンス療法を含めた、様々な治療レジメンで使用することができる。さらに、この用語は、リボソーム、またはアンチセンスRNAをいう。核酸によってコードされているタンパク質、RNAまたはリボソームは、細胞中で表現不十分、機能しないまたは存在しない場合があり、核酸によってコードされているアンチセンスRNAは、分子の望ましくない機能の排除を可能にし得る。好ましい実施形態では、本明細書中で上述したYopM、YopM断片またはYopM変異体は、DNAと二重および三重のヘリックスを形成することができるDNA模倣体であるペプチド核酸(PNA)との融合体として合成し得る。そのようなペプチド−PNAの融合体は、本発明のYopM構成要素を介して細胞に入ることによってDNAまたはRNAを標的細胞へ送達し得る、安定したDNAまたはRNA/PNAの二重鎖を形成することができる。] [0123] 例として、タンパク質核酸(PNA)とは、主鎖がデオキシリボース主鎖と構造的に同形であるDNAの類似体である。主鎖は、核酸塩基が付着するN−(2−アミノエチル)グリシン単位からなる。4種の天然の核酸塩基をすべて含有するPNAは、ワトソン−クリックの塩基対合の規則に従って相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、塩基対認識に関して真のDNA模倣体である(Egholm他、Nature、365:566〜568(1993))。PNAの主鎖はリン酸エステルではなくペプチド結合によって形成され、それにより、これがアンチセンスの用途に十分適したものとなる。主鎖は非荷電であるため、形成されるPNA/DNAまたはPNA/RNAの二重鎖は通常よりも高い熱安定性を示す。PNAは、ヌクレアーゼまたはプロテアーゼによって認識されないというさらなる利点を有する。さらに、PNAは、標準のt−Boc化学を用いて自動ペプチド合成機で合成することができる。その後、PNAは本発明の輸送ポリマーと容易に連結される。] [0124] 別の好ましい実施形態では、YopM、YopM断片またはYopM変異体は、好ましくは転写因子の特異的結合部位を含有し、転写因子の機能をin vitroおよびin vivoで遮断し得る、囮オリゴヌクレオチドと合わせる。] [0125] カーゴ分子の状況における用語「ポリペプチド」とは、当業者に知られている治療上活性のあるタンパク質、酵素、EGFPまたはルシフェリンなどのマーカータンパク質を含めた、当業者に知られている任意のポリペプチドをいう。好ましい実施形態では、この用語は、エルシニア外側タンパク質P(YopP)に関する。したがって、YopPは、YopM、YopM断片またはYopM変異体と連結し、それによりカーゴ分子として細胞膜を横切って宿主細胞のサイトゾル内に輸送され得る。好ましくは、連結は本明細書中で上述したペプチド結合である。別の実施形態では、カーゴ分子の状況における用語「ポリペプチド」とは、YopM、YopM断片またはYopM変異体と、カーゴとして使用される第2のタンパク質、好ましくは、たとえば複数の機能を有するキメラタンパク質をもたらし得る異種タンパク質との間の融合タンパク質に関する。さらなる好ましい実施形態では、タンパク質−タンパク質融合体は、転写融合体の形態であり得る。適切な転写融合体、および対応する構築体を作製する適切な方法は、当業者に知られている。] [0126] カーゴ分子の状況における用語「抗体」とは、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体(HarlowおよびLane、「抗体、実験室の手引き(Antibodies,A Laboratory Manual)」、CSH Press、米国Cold Spring Harbor、1988を参照)、またはその結合特異性を保持もしくは本質的に保持している前記抗体の誘導体をいう。そのような抗体の好ましい誘導体は、マウスまたはラットの可変領域およびヒトの定常領域を含むキメラ抗体である。本明細書中で使用する用語「機能的断片」とは、分離した軽鎖および重鎖、Fab、Fab/c、Fv、Fab’、F(ab’)2などの、抗体の結合特異性を保持または本質的に保持している、本明細書中で指定した抗体の断片をいう。また、用語「抗体」は、二官能性(二重特異性)抗体および単鎖Fv(scFv)または抗体−融合タンパク質などの抗体構築体を含む。用語「scFv断片」(単鎖Fv断片)は当分野で十分に理解されており、その大きさが小さく、そのような断片は組換えによって産生される可能性があるため、好ましい。前記抗体または抗体結合部分は、ヒト抗体またはヒト化抗体である。本発明によれば、用語「ヒト化抗体」とは、CDR3、好ましくは6個すべてのCDRなどの、可変領域中の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、所望の特異性を有するヒト源の抗体のCDRによって置き換えられている、非ヒト源の抗体を意味する。任意選択で、抗体の非ヒト定常領域が、ヒト抗体の定常領域によって置き換えられている。ヒト化抗体を産生する方法は、たとえば、EP−A1 0 239 400号およびWO90/07861号に記載されている。] [0127] カーゴ分子の状況における用語「有機分子」および「有機小分子」とは、癌細胞などの細胞の死が望まれる場合に、たとえばアポトーシスまたは細胞溶解を誘導し得る細胞または分子の正しい機能を確実にするように作用する、治療上有用な有機分子に関し、好ましくは薬物または他の生物学的もしくは治療的に活性のある薬剤が含まれる。好ましくは、有機小分子は、血清および生理食塩水などの水溶液中への可溶性が乏しい。したがって、治療上の有効性がその低い可溶性によって制限される化合物は、本発明に従ってより高い用量で投与することができ、また、細胞による取り込みレベルがより高いため、モル濃度に基づいて、合わせない形態と比較して合わせた形態でより有効である場合がある。本発明による好ましい組成物を形成するそのような有機小分子の例はタキサンである。タキサンおよびタキソイドは、細胞機能に有害な程度まで微小管の重合を促進(および脱重合を阻害)し、細胞複製を阻害し、最終的には細胞死をもたらすことによって、その抗癌効果を現すと考えられている。本明細書中で使用する用語「タキサン」とは、パクリタキセル、および、天然に存在する、合成の、または生物工学的に操作した類似体をいう。好ましくは、送達ペプチドは、酸部分、たとえばホスフェートが含まれるように改変した、改変したタキサンまたはタキソイドと合わせる。] [0128] カーゴ分子の状況における用語「ナノ粒子」とは、少なくとも1つの寸法が400nm未満である、または、当業者に知られている、たとえば、Langel,U.(編)(細胞浸透性ペプチドのハンドブック(Handbook of cell−penetrating peptides)、CRCPress、フロリダ州Boca Raton、2007)およびLangel,U.(編)(細胞浸透性ペプチド:方法および応用(Cell−penetrating peptides:Processes and Applications)、CRC Press、フロリダ州Boca Raton、2002)からの、任意の他の適切な形態および大きさを有する小粒子をいう。より好ましくは、この用語は、少なくとも1つの寸法が300nm未満、さらにより好ましくは200nm未満、100nm未満、50nm未満、30nm未満、20nm未満、10nm未満、最も好ましくは5nm未満または3nm未満を有する、そのような粒子に関する。好ましい実施形態では、用語「ナノ粒子」とは、たとえば最小の大きさが2.8nmの金粒子、たとえば最小の大きさが20nmの量子ドットをロードしたポリマーミセル、または最小の大きさが65〜200nmの立体的に安定なリポソームをいう。] [0129] カーゴ分子の状況における用語「ウイルス」とは、当業者に知られている任意の種類のウイルスに関する。好ましくは、ウイルスは、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、シンプレックスウイルス、レンチウイルスおよびレトロウイルスからなる群から選択される。] [0130] カーゴ分子の状況における用語「改変ウイルス」とは、野生型ウイルスと比較して変更されているウイルス分子に関する。当業者には知られているように、そのような改変は、活力の増加もしくは低下をもたらすか、ウイルスの結合もしくは相互作用能力に影響を与え得る。] [0131] カーゴ分子の状況における用語「ウイルスベクター」とは、それらの取扱いの危険性が最小限となるように改変された、ウイルスに由来する遺伝因子をいう。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような要素に関する。典型的には、ウイルスベクター中で、ウイルス複製に重要なウイルスゲノムの部分を欠失させる。好ましくは、そのようなウイルスは、細胞に効率的に感染することができるが、感染が起こった後、新しいビリオンの産生には欠損したタンパク質を提供するためにヘルパーウイルスを必要とする。さらに、ウイルスベクターは低い毒性を示し、遺伝的に安定しておりそのゲノムが再編成されない。より好ましくは、この用語は、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レンチウイルスおよびレトロウイルスに由来する、上記定義に従ったウイルス遺伝因子に関する。] [0132] 用語「金属」とは、当業者に知られている任意の金属をいう。好ましくは、この用語は、金、白金、ランタニドの金属およびアクチニドの金属に関する。さらなる好ましい実施形態では、この用語は放射性金属に関する。] [0133] カーゴ分子の状況における用語「プラスミド」とは、染色体DNAとは別であり、自律複製が可能な任意の染色体外DNA分子をいう。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような分子に関する。より好ましくは、この用語は、真核細胞中で自律複製が可能であり、目的のポリペプチド、たとえば治療的タンパク質をコードしているDNA分子に関する。] [0134] 本発明の好ましい実施形態では、カーゴは、治療的タンパク質、自殺タンパク質、腫瘍抑制タンパク質、転写因子、キナーゼ阻害剤、キナーゼ、調節タンパク質、アポトーシスタンパク質、抗アポトーシスタンパク質、微生物抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生生物抗原、細胞抗原、分化因子、不死化因子、毒素、酵素、アンチセンス構築体、診断的イメージング剤または造影剤、同位体、色素、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗増殖剤、細胞増殖抑制剤、免疫抑制剤、ヒスタミン受容体拮抗剤、ビタミン、鎮痛剤、抗新生物剤、ホルモン、抗炎症剤、接着分子、受容体分子、治療的有機分子、有機阻害剤、ペプチド阻害剤および抗老化剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。] [0135] さらに、カーゴは、本質的に、任意の生物活性のある薬剤または診断的分子である。生物活性のある薬剤は、未改変の形態で使用してもよく、または、YopM−カーゴの複合体を増強するために荷電(典型的には酸性)残基を取り込むように改変されていてもよい。本明細書中で使用する用語「生物活性のある薬剤」には、その未改変の形態の薬剤、ならびに改変されており、親の薬剤と比較して減少もしくは増大したレベルの活性および/または減少もしくは増大した結合反応速度薬剤、たとえばプロドラッグが含まれる。] [0136] さらなる例として、レボドパ(L−3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン;L−DOPA)などの高荷電の薬剤をカーゴとして、本発明の送達タンパク質と、すなわち、YopM、YopM断片またはYopM変異体と合わせ得る。さらに、ペプトイドおよびペプチド模倣体もカーゴとして企図される。] [0137] カーゴ分子の状況における用語「治療的タンパク質」とは、動物体、特に人体に治療効果を有する任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのようなタンパク質に関する。より好ましくは、この用語は、リソソームのグルコセレブロシダーゼ欠乏(ゴーシェ病)の治療に使用し得るアルグルセラーゼ、ムコ多糖症I型の治療に使用し得るα−L−イズロニダーゼ、サンフィリッポB症候群の治療に使用し得るα−N−アセチルグルコサミダーゼ、膵不全の治療に使用し得るリパーゼ、重症複合型免疫不全症候群の治療に使用し得るアデノシンデアミナーゼ、またはトリオースリン酸イソメラーゼ欠乏に関連する神経筋機能不全の治療に使用し得るトリオースリン酸イソメラーゼなどの治療的酵素に関する。] [0138] カーゴ分子の状況における用語「自殺タンパク質」とは、タンパク質の作用が原因で、典型的には対応する基質の存在下における酵素反応が原因で、細胞の破壊をもたらす任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのようなタンパク質に関する。より好ましくは、この用語は、HSV−1 TKまたはDm−dNKの多基質デオキシリボヌクレオシドキナーゼなどのヌクレオシドキナーゼに関する。] [0139] カーゴ分子の状況における用語「腫瘍抑制タンパク質」とは、癌への経路の1ステップから細胞を保護する任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのようなタンパク質に関する。より好ましくは、この用語は、Rbタンパク質、p53腫瘍抑制因子、APCおよびCD95に関する。] [0140] カーゴ分子の状況における用語「転写因子」とは、DNA結合ドメインを用いてDNAの特定の部分と結合し、DNAからRNAへの遺伝情報の転写を制御する系の一部である任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、TFIIA、TFIIB、TFIID、TFIIE、TFIIF、TFIIHおよびTATA結合タンパク質(TBP)に関する。] [0141] カーゴ分子の状況における用語「キナーゼ阻害剤」とは、プロテインキナーゼの作用を特異的に遮断する酵素阻害剤の一種である任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、ダサチニブ(desatinib)、Erbitux(セツキシマブ)、Tarceva(エルロチニブ)、Iressa(ゲフィチニブ)、およびハーセプチンに関する。] [0142] カーゴ分子の状況における用語「キナーゼ」とは、リン酸基をATPなどの高エネルギーのドナー分子から特異的な標的分子に移行する任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのようなタンパク質に関する。より好ましくは、この用語は、チロシンキナーゼまたはMAPキナーゼ、MEK1、もしくはMEK2に関する。] [0143] カーゴ分子の状況における用語「アポトーシスタンパク質」とは、多細胞生物においてプログラム細胞死をもたらす任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのようなタンパク質に関する。より好ましくは、この用語は、アポトーシス促進タンパク質BAX、BID、BAK、またはBADに関する。] [0144] カーゴ分子の状況における用語「抗アポトーシスタンパク質」とは、多細胞生物においてプログラム細胞死を妨害する任意のタンパク質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのようなタンパク質に関する。より好ましくは、この用語は、Bcl−Xl、Bcl−2、さらにはBcl−2ファミリーのメンバーなどの抗アポトーシスタンパク質に関する。] [0145] カーゴ分子の状況における用語「微生物抗原」、「ウイルス抗原」、「細菌抗原」、寄生生物抗原」、および「細胞抗原」とは、それぞれ微生物、ウイルス、細菌、寄生生物、または細胞に由来する免疫応答を刺激することができる免疫原に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような免疫原に関する。より好ましくは、この用語は、腫瘍関連抗原(TAA)または細菌、ウイルス、および寄生生物の表面タンパク質もしくは糖タンパク質に関する。] [0146] カーゴ分子の状況における用語「分化因子」とは、主に発生において機能し、組織の分化、特定細胞の細胞群をもたらす任意の因子に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、GDF1、GDF2、GDF3、GDF5、GDF6、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、およびGDF15などの成長分化因子(GDF)に関する。] [0147] カーゴ分子の状況における用語「不死化因子」とは、年齢の関数として細胞の死亡率が持続して増加しないことを刺激する任意の因子に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、テロメラーゼまたはラージT抗原に関する。] [0148] カーゴ分子の状況における用語「毒素」とは、体組織と接触またはそれに吸収された際に、酵素または細胞受容体などの生物学的巨大分子と相互作用することによって疾患または細胞死を引き起こすことができる任意の分子に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、ボツリヌス毒素、破傷風毒素、百日咳毒素、熱安定性および熱不安定性大腸菌エンテロトキシン、コレラ毒素、志賀毒素、細胞致死性膨張性毒素、気管細胞毒素、ジフテリア毒素、クロストリジウム毒素、テトロドトキシン、バトラコトキシン、モーロトキシン、アジトキシン、カリブドトキシン、マーガトキシン、スロトキシン、スキラトキシン、カルシセプチン、タイカトキシン、およびカルシクルジンに関する。最も好ましくは、この用語は、それだけには限定されないが、Schmitt他(Emerg.Infect.Dis.、5:224〜234(1999))のページ225の表に含まれる細菌毒素に関する。] [0149] カーゴ分子の状況における用語「診断的イメージング剤または造影剤」とは、巨視的または微視的なレベルでの分子および細胞プロセスの可視化を可能にする任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、mTcグルコヘプトン酸、または磁気共鳴画像法(MRI)手順で使用する物質、たとえばGd−DTPA等のガドリニウムを塗布したキレート化剤などの放射性物質、それだけには限定されないが、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼを含めた、細胞中で発現させた際に容易に検出可能なタンパク質をコードしているマーカー遺伝子、ならびに重金属、ハロゲン、放射性核種、蛍光物、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、リガンド、およびハプテンに関する。] [0150] カーゴ分子の状況における用語「同位体」とは、異なる原子質量を有する元素に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、N−15、C−13、P−31、F−19、またはI−131などの放射性同位体に関する。] [0151] カーゴ分子の状況における用語「色素」とは、それを塗布する基質に対して親和性を有する有色物質に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような因子に関する。より好ましくは、この用語は、ローダミン、Cy2、Cy3、Cy5、Cy7、テキサスレッド、R−フィコエリスリン、PerCP、パシフィックブルー、APC、Alexa405、430、488、546、559、594、633、660、674、680、700、カスケードブルー、またはフルオレセインなどの、分子使用に用いる有色物質に関する。] [0152] カーゴ分子の状況における用語「抗細菌剤」とは、細菌に成長阻害または成長制限活性を有する任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物、たとえばβ−ラクタム抗生物質またはキノロン抗生物質に関する。より好ましくは、この用語は、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、アモキサシリン、アンピシリン、セファロスポリン、セフォタキシム、セフトリアキソン、リファンピン、ミノサイクリン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、マクロライド、キノロン、β−ラクトン、P−ラクタマーゼ阻害剤、サリチルアミド、およびバンコマイシン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルフイソオキサゾール、スルファジアジン、ペニシリンGおよびVなどのペニシリン、メチシリン、オキサシリン、ナフシリン(naficillin)、アンピシリン、アモキサシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリンおよびピペラシリン、セファロスポリン、たとえば、セファロチン、セファゾリン(cefaxolin)、セファレキシン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォキシチン、セファクロル、セフロキシム(cefuroxine)、ロラカルベフ、セフォニシド、セフォテタン、セフォラニド、セフォタキシム、セフポドキシム、プロキセチル、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフタジジムおよびセフェピム、アミノグリコシド、たとえば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシンなど、テトラサイクリン、たとえば、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリンおよびミノサイクリン、ならびにマクロライド、たとえば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシン、またはそれらの類似体からなる群から選択される薬剤に関する。] [0153] カーゴ分子の状況における用語「抗真菌剤」とは、真菌種に成長阻害または成長制限活性を有する任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、アムホテリシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、クロトリマゾール、フルコナゾール、シクロピロクス、エコナゾール、ナフチフィン、テルビナフィン、およびグリセオフルビンに関する。] [0154] カーゴ分子の状況における用語「抗ウイルス剤」とは、ウイルス種に成長阻害または成長制限活性を有する任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン(トリフルオロピリジン)、バラシクロビル、シドホビル、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、リバビリン、およびリマンタジン(rimantatine)に関する。] [0155] カーゴ分子の状況における用語「抗増殖剤」とは、細胞増殖を阻害または制限する任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、メトトレキサート、アザチオプリン、フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、6−チオグアニン、シクロホスファミド、塩酸メクロレタミン(mechloroethamine)、カルムスチン、シクロスポリン、タキソール、タクロリムス、ビンブラスチン、ダプソン、ネドクロミル、クロモリン(クロモグリク酸)、およびスルファサラジンに関する。] [0156] カーゴ分子の状況における用語「免疫抑制剤」とは、免疫系の活性の阻害または妨害をもたらす任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、糖質コルチコイド、細胞増殖抑制剤、イムノフィリンに作用する薬物またはTNF結合タンパク質に関する。最も好ましくは、この用語は、シクロホスファミド、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アザチオプリン、メルカプトプリン、メトトレキサート、シクロスポリン、抗IL−2受容体抗体、抗OKT3抗体および抗CD3抗体、ならびにTNF−α結合モノクローナル抗体、たとえば、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、またはアダリムマブ(Humira(登録商標))に関する。] [0157] カーゴ分子の状況における用語「ヒスタミン受容体拮抗剤」とは、ヒスタミンの作用を阻害または放出する役割を果たす任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、2−メチルヒスタミン、2−ピリジルエチルアミン、2−チアゾリルエチルアミン、(R)−a−メチルヒスタミン、インプロミジン、ジマプリット、4(5)−メチルヒスタミン、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニルアミン、クロルシクリジン、テルフェナジンなどに関する。] [0158] カーゴ分子の状況における用語「ビタミン」とは、生物が栄養素として微量必要とする任意の化合物に関する。好ましくは、この用語は、当業者に知られている任意のそのような化合物に関する。より好ましくは、この用語は、ビタミンA、B1、B2、B3、B5、B6、B7、B9、B12、C、D、E、またはKに関する。]
权利要求:
請求項1 細胞膜を横切って少なくとも1つのカーゴ分子を真核細胞のサイトゾルに送達するための、追加の要素を必要とせずに真核細胞の細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるエルシニア外側タンパク質M(YopM)、YopM断片またはYopM変異体の使用。 請求項2 前記YopM断片またはYopM変異体がYopMのαヘリックスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の使用。 請求項3 YopM、その断片または変異体が、YopMをコードしている病原性プラスミドを天然に含むエルシニア属菌株のYopMから選択される、請求項1または2に記載の使用。 請求項4 YopM、その断片または変異体が、エンテロコリチカ菌(Y.enterocolitica)、偽結核菌(Y.pseudotuberculosis)またはペスト菌(Y.pestis)の種のYopMから選択される、請求項6に記載の使用。 請求項5 YopMまたはその変異体が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択されるいずれかの配列のアミノ酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。 請求項6 前記カーゴ分子が、核酸、ポリペプチド、有機分子、有機小分子、金属、ナノ粒子、ウイルス、改変ウイルス、ウイルスベクター、抗体および/またはプラスミドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。 請求項7 前記カーゴが治療的および/または診断的活性を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。 請求項8 前記YopM、前記YopM断片または前記YopM変異体が細胞特異的な標的薬剤とさらに連結している、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。 請求項9 前記YopM、前記YopM断片または前記YopM変異体が免疫調節能力を本質的に有さない、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。 請求項10 YopM、YopM断片またはYopM変異体を含む医薬組成物であって、前記YopM断片またはYopM変異体が追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができる、医薬組成物。 請求項11 サイトカインおよび/もしくはサイトカイン受容体および/もしくはサイトカインに応答する遺伝子および/もしくは軟骨破壊分子のダウンレギュレーション、ならびに/または破骨細胞形成の阻害に使用するための、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるYopM、YopM断片またはYopM変異体を含む医薬組成物。 請求項12 サイトカインおよび/もしくはサイトカイン受容体および/もしくはサイトカインに応答する遺伝子および/もしくは軟骨破壊分子のダウンレギュレーション、ならびに/または破骨細胞形成の阻害に使用するための、細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれる能力を本質的に有さないYopMの免疫調節ドメインを含む医薬組成物。 請求項13 前記YopM、YopM断片、YopM変異体および/またはYopMの免疫調節ドメインがカーゴと連結している、請求項10から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。 請求項14 免疫系の炎症反応の調節、宿主の自己免疫によって引き起こされる疾患の治療、炎症、慢性炎症、胃腸炎、慢性胃炎、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、乾癬、アレルギー反応、クローン病、関節リウマチの治療、骨吸収の変化によって特徴づけられた骨疾患の治療および/または免疫系の抑制に使用するための、請求項10から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。 請求項15 YopMのαヘリックスのうちの1つ、YopMのαヘリックスのうちの2つ、YopMのαヘリックスのうちの1つおよび1〜3個のYopMロイシンリッチリピート、またはYopMのαヘリックスのうちの2つおよび1〜3個のYopMロイシンリッチリピートを本質的に含み、追加の要素を必要とせずに細胞膜に自己浸透して細胞サイトゾル内に組み込まれることができるYopM断片またはYopM変異体であって、前記YopM、前記YopM断片または前記YopM変異体が少なくとも1つのカーゴ分子と連結している、YopM断片またはYopM変異体。
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同族专利:
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引用文献:
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